産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせドローンは、遠隔操作できる無人航空機の総称です。日本では2015年から運送や農業、映像など、さまざまな分野で導入が始まりました。
また、産業用だけでなく個人で操縦や空撮を楽しむ小型ドローンも数多く販売されています。
ドローンにはカメラが搭載してある機種が多いですが、普通のカメラだけでなく赤外線カメラを搭載している機種もあります。 この記事では、ドローンに赤外線カメラを搭載するメリットや使い道、注意点などを紹介します。
目次
赤外線カメラとは、温度を可視化できるカメラのことです。テレビなどで、体の表面温度を色の変化で表した画像を見たことがある人も多いことでしょう。さまざまな色で温度を表した画像が、赤外線カメラの映像です。
赤外線カメラは、物体から放射されている目に見えない「赤外線」を検知して電気信号に変換することで、映像を生成し、温度を測定することができます。
たとえば屋根の写真だけでは、屋根の温度までは分かりません。しかし赤外線カメラで撮影すれば、屋根が日光で熱せられて熱くなっているのかどうかまで分かります。ドローンに搭載すれば、上空から人が入れない場所の赤外線写真を撮ることが可能です。
なお可視カメラと赤外線カメラを切り替えられるカメラを搭載していれば、両方の撮影が同時にできます。
赤外線カメラは、一般的なカメラのようにフルカラーの映像を撮ることはできません。その代わり、温度を可視化することができます。
たとえば物体の一部が異常に熱くなっていたり、逆に冷たくなっていたりする場合など、写真を撮影すれば分かります。
また暗闇でも撮影が可能です。暗闇で移動する際に付ける暗視スコープも赤外線を利用しています。このほか透過性もあるため、建物の中に人がいるかどうかも把握できるのが赤外線カメラの特徴です。
赤外線カメラは、一般的に調査・防犯・パンデミック対策・災害救助などに用いられています。たとえば電化製品などは異常や破損が起こると、その部分の温度が異様に高くなることがあります。しかし見ただけでは分からないことも多いので、赤外線カメラを使って温度を確かめることで調査を行うのです。
また、赤外線カメラは人の体温も検知できるので、どこかに不審者が潜んでいても見つけ出すことができます。この仕組みは、災害で崩れた建物の中に人がいるかどうかや、発熱した人が集団の中に紛れ込んでいないか、などの調査にも役立っています。
赤外線カメラをドローンに搭載すれば、より多くの情報収集が可能です。たとえば山の上、高い建物の上など、人が到達するのに困難な場所も、ドローンなら空中で撮影が可能です。これは、災害現場も同様です。
ガレキの上から赤外線カメラで撮影すれば、その下に生きている人がいるかどうか分かります。
また今まで人の手によって行われてきた点検や調査をドローンで行えば、安全性が高まるだけでなく、費用の節約や時間の短縮になります。たとえば屋根の点検は人の手で行えば数時間かかりますが、ドローンで行えば数十分ですみ、価格も抑えられるでしょう。
ここでは、実際に赤外線カメラを使ったドローンの活用事例を紹介します。どのような場所で、赤外線カメラを搭載したドローンが使われているのでしょうか?
ソーラーパネルとは、太陽光発電を行うためのパネルです。近年、環境に優しい発電方法として国が積極的に導入をすすめたこともあり、一般住宅の屋根や空き地までいろいろな場所に設置されるようになりました。ソーラーパネルは定期的な点検が必須です。
しかし屋根の上など点検が難しい場所に設置されていることも多く、しかも陽光が当たると発電するので、不用意に触ると感電する危険性もあります。赤外線カメラが搭載されているドローンで撮影すれば、異常発熱している部分などが一目で分かり、破損しているかどうか確認が可能です。
また山の中に設置しているソーラーパネルが台風や山崩れなどで破損している可能性がある場合も、ドローンは役立ちます。空から撮影すれば、安全に壊れているかどうか、異常発熱しているかどうか確認が可能です。 自宅屋根にソーラーパネルを搭載している場合、ドローンで点検することができれば点検費用を抑えられます。
地震で建物が崩れて下敷きになったり、雪崩で雪に埋もれたりした際、どれだけ早く発見できるかどうかが生死を分けます。現在の操作方法は人海戦術です。しかし、人の手による捜索はできる場所に限りがあります。
二次災害の可能性がある場合は、捜索が中止されることもめずらしくありません。そんなときに赤外線カメラ搭載のドローンを使えば、ガレキや雪の下に埋まった生きている人を素早く発見することが可能です。
ドローンならば、人が入れない場所でも問題なく入れます。
またヘリコプターに赤外線カメラを搭載して遭難者を捜す方法は、現在でも行われていますが、コストがかかることが問題です。ドローン操縦者とモニターがあれば捜索が可能です。これならば、捜索にかかるコストを大幅に減らすことができるでしょう。
野生動物には夜行性の種類もたくさんいます。今までの監視や生態調査は、人が時間をかけて肉眼で行ってきました。しかしそれでは実施できる調査に限りがあります。また近年は市街地に熊や猿、イノシシなどの危険な生き物が出没するケースも増えている状況です。
赤外線カメラを搭載したドローンを使えば、最低限の労力で野生動物の監視や生態調査を行うことができます。定点カメラでも監視や調査はできますが、野生生物は動き回るものなので、ドローンの方が追跡調査には適しています。
また赤外線カメラは高性能なものだと数万円はするので、気軽に定点カメラとして設置するのは難しいケースも多いでしょう。ドローンなら価格を抑えやすいです。
国産ドローンを製造・販売しているACSLは、兵庫県の鳥獣害調査にドローンを提供しました。調査は2021年3月10日(水)~11日(木)に実施され、LTE通信を用いたドローンの遠隔操作と映像の伝送により都市内のシカなどの生息状況を赤外線カメラで確認しました。
結果、人間が侵入することが難しいエリアで、シカなどが生息していることが確認できた事例です。
※参考:ACSL、兵庫県で実施されたLevel3飛行による鳥獣害調査に国産ドローンを提供|株式会社ACSL
住宅やインフラ設備は定期的な点検が必要です。現在は人が目視や手を使って行う点検が主流です。しかし、高層マンションや山奥にある送電線などは、点検が大変です。特に、高層マンションやビルは、上からゴンドラをつったりロープを使って壁を伝い降りたりするなどして調査を行えば費用もかかります。
こんなとき、ドローンを使えば時短にもなり経費削減にも役立ちます。タイルの浮きや外壁の剥がれ、屋根の破損などがあればそこの温度が変わるので、修理箇所を把握できるでしょう。 一般的なカメラを積んだドローンでも点検は可能ですが、赤外線カメラを積んだドローンを使えば、外見上は問題ない場所の破損なども分かるため、問題の早期発見に役立ちます。
プラントは施設が広大で、えんとつやフレアチップを始めとする点検が難しい箇所が多くあります。こんなときにも赤外線カメラを使ったドローンが役立ちます。高所の点検は手間も時間もかかり、危険もある場所です。
しかし赤外線カメラを積んだドローンを使えば、数人で安全に点検を行うことが可能です。 インフラや住宅の点検と同じように表面上は問題なくても、内部で破損が進んでいる箇所も発見できる可能性があります。今まで1日がかりで行っていた点検が数時間で終るようになれば、経費も節約できます。
現在、赤外線カメラは小型化が進み、産業用のドローンに搭載できるサイズのものも増えています。そのため個人で赤外線カメラをドローンに搭載し、点検をしたいと思う方もいるでしょう。
ただし、赤外線カメラはただ撮影すればよいものではありません。赤外線カメラで正確な画像を撮影するには、撮影対象との距離が重要です。赤外線カメラと撮影対象の距離が近いほど、高性能な画像が撮影できます。一方で撮影対象とカメラが近すぎると、後から画像を確認したときにどこを取ったか分からなくなります。
特に高層ビルやマンションなど大きな壁を撮影した場合は、どこを取ったか分からなければ撮影した意味がありません。つまり適切な撮影距離が大切です。
カメラと被写体の適切な距離は、赤外線カメラのスペックによって異なります。この目安になるのが「空間分解能」です。「空間分解能」とはカメラセンサーの1ピクセルが瞬間的に捉えることができる視野の単位です。空間分解能が小さくなるほど、より対象を鮮明で詳細に記録できるようになります。 しかしこの空間分解能を把握するのは、なかなか難しいものです。そのため赤外線カメラを搭載したドローンによる調査は、専門的な知識を持つ専門業者に依頼した方が無難です。
今回は、赤外線搭載ドローンの使い道やメリット、注意点などを紹介しました。ドローンは手軽に空撮が楽しめるホビーというイメージがありますが、カメラを変えるだけで点検や捜索、調査などにも役立ちます。
ACSLは国産の産業用ドローンを開発しており、インフラ点検、災害、調査などさまざまな分野で採用されています。
2021年12月に発表した小型空撮ドローンSOTEN(蒼天)は、標準カメラと赤外線+可視カメラがワンタッチで切り替え可能で、用途に合わせて簡単に変更できます。このドローンを利用すれば、赤外線を使った映像も通常のカメラの映像も両方簡単に撮影が可能です。
自社でも赤外線搭載のドローンを使って調査や点検をしたいという場合は、ぜひ、株式会社ACSLにご相談ください。