産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせドローンは2015年より、本格的にさまざまな産業への導入が始まりました。現在はドローンにカメラを搭載した撮影技術が、農業・測量・検査など多くの分野で活用されている状況です。
今まで人力に頼っていた検査もドローンを使うことで、大幅に作業効率がアップしてコスト削減にもつながることでしょう。橋梁点検もそのひとつです。
この記事では、なぜ今橋梁点検にドローンの導入が進められているのか、その理由やドローン導入によるメリットを解説します。
目次
はじめに、なぜ橋梁の点検にドローンの導入が積極的に用いられるのか、その理由を解説します。現在の橋梁の点検状況やドローンを導入することによって、どのような課題が解決するのかも説明します。
国土交通省の道路構造物の現状(橋梁)によると日本全国には、2m以上ある道路橋が約72万箇所あります。橋梁は5年に1度の点検が義務づけられていますが、72万箇所の橋梁のうち45万箇所が自治体に管理が任されています。つまり、点検の費用も自治体の負担です。
橋梁によっては高所や海の上などにも設置されているところもあり、点検に時間と人手が必要になります。そうなれば、コストも増加します。
また現在、橋梁の点検ができる技術者の数が減少しており、点検を依頼しても「すぐに」というわけにはいかないケースも増えました。
さらに、橋梁の多くが昭和40年代までの高度成長期に整備されたもので、これから老朽化が進んで不具合が多発することが予想されます。
つまり、点検の重要さはますます増しているのに点検を行う人が減少し、点検コストも増大しているという良くない状況です。
※ 出典:国土交通省|予防保全の取組みv3
現在、橋梁の点検方法は橋梁点検車(ブリッジチェッカー)と呼ばれる特殊車両を使って行う方法が一般的です。長時間車を停めての作業になるので、交通規制が必要になります。
また橋梁点検車の数も少なく新たに導入しようとしても費用が高価です。交通量が多い橋だと、点検にあてられる時間が限られてしまう課題もあります。
さらに橋梁点検車が使えない橋の場合は、ロッククライミングの要領で命綱を用いて橋梁の下に入って点検を行います。この方法だと交通規制をする必要はありませんが、技術者に高い技量が必要です。加えて命綱が切れた場合には墜落の危険があるなど、安全性にも問題があります。
残念ながら、橋梁点検車(ブリッジチェッカー)を用いる方法も、命綱を使用する方法も効率は良くありません。こうしたなかで橋梁を点検する人手や資金が不足しているため、作業の効率化が求められています。この問題を解決する方法として注目されているのが、ドローンを使用した点検です。
では、ドローンで橋梁を点検するとどのようなメリットがあるのでしょうか。下記で、ドローンで橋梁点検をするメリットを具体的に解説します。
橋梁は、高所や海の上など危険な場所に設置されているケースがめずらしくありません。橋梁点検車や命綱を使った従来の検査方法は、どうしても危険が伴います。ちょっとした天候の変化や不注意で落下事故などが起こるかもしれません。
しかし、ドローンなら作業員は安全な場所から機体を操作すればいいため、危険度を下げることが可能です。
また、ドローンに搭載したカメラを通して画面越しに点検ができるので、命綱を使った点検を行える技術がなくても問題ありません。
作業車を使ったり命綱を用いたりする点検の場合、ひとつの橋梁に要する時間がどうしても長くなりがちです。準備を含めると、効率化された作業とは言いがたい状況でしょう。
しかし、ドローンを使った点検の場合は、ドローンを飛ばして橋梁を隅々まで点検すれば完了です。従来行われてきた橋梁の点検方法のように、交通規制などもする必要はありません。操縦者は安全な場所でドローンを操作すればいいので、短時間かつ効率的な検査ができるでしょう。
例えば今まで、1日に2件しかできなかった橋梁の点検をドローンの導入によって、1日に5件できるようになれば、それだけ効率も上がりコストカットにもつながるといえます。
橋梁の点検は専用の車両や命綱を使って行うため、どうしても「隅々まで徹底した検査」を行うのは難しいでしょう。作業員の手が届かない場所や目視できないところは必ず生まれます。また安全を考慮しながらも精度の高い検査を行おうとすれば、その分の時間とコストがかかります。一方、ドローンならば小さい機体で小回りがきくので、作業員が目視できない・しにくい場所までカメラに捉えることが可能です。もちろん、ドローンに搭載されたカメラのクオリティにもよりますが、質が良いものを使用すれば従来よりも精度の高い点検が実現するでしょう。
従来の検査の場合、調査をする技術者以外に車両を運転する運転手や交通規制をする整備員、さらに、安全を確保する人員などが必要です。ひとつの現場に10人以上の人員が動員されることもめずらしくありません。作業員などを現場に向かわせるためには、交通費もかかります。
一方ドローンを使った検査では、必要なのはドローンを操縦する人だけです。ドローンが撮影した映像はパソコンなどを利用すれば遠方でも受信ができます。また、遠隔操作ができるドローンならば操縦者も事務所にいてドローンだけを飛ばすことも可能です。
最少人数で橋梁検査を行えれば、人員の削減だけでなくコストカットもできます。
しかし、ドローンによる検査はメリットだけではありません。ここでは、ドローンを使った検査のデメリットも解説します。メリットとデメリットの両方を把握していれば、従来の検査との使い分けも可能です。
ドローンは小型の無人操縦機です。そのため、強風や雨のときはドローンを飛ばせません。
その目安としては風速が8m/s以上と言われています。はじめから雨や風が強い日はもちろんのこと、検査途中で雨や風が強くなっても検査を中止しなければなりません。
特に、海の付近は強風が吹きやすいので、海の近くの橋梁では検査できる日が極限られることもあるでしょう。
また、地方によっては特定の季節に強風が吹いたり、長雨が続いたりします。そんなときも調査ができません。検査可能な日が限られている場合はドローンによる検査が難しくなることもあります。
この他、ドローンは重いほど風への耐性が強くなりますが、その分墜落の危険性が増します。ですから、重いドローンを使えば耐風性が高まるという訳ではありません。
2022年4月現在、総重量200g以上のドローンは航空法による規制を受けます。航空法では、「航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域や、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域でドローンを飛行させる場合は、あらかじめ国土交通大臣の許可を得る必要がある」(※)と定めています。
ただし、許可を申請したからといって必ずしも降りるとは限りません。橋梁の場所によっては、ドローンによる検査ができないこともあるでしょう。
また、許可を申請しても降りるまでに時間がかかることもあります。そのため、「昨日検査を申し込んで、今日実施する」ということはほぼ不可能だと考えましょう。
200g未満のドローンは2022年4月現在航空法の規制を受けませんが、そんな小さなドローンでは十分な調査ができません。
この他、小型無人機等飛行禁止法により、以下の施設周辺(敷地内、および300m以内)ではいかなるドローンも飛行できないので注意が必要です。
<小型無人機等禁止法に基づき指定する施設> ・国の重要な施設等 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等 危機管理行政機関の庁舎 対象政党事務所 ・対象外国公館等 ・対象防衛関係施設(令和元年改正で追加) ・対象空港(令和2年改正で追加) ・対象原子力事業所 <特措法に基づき指定する施設> ・大会会場等(令和元年改正で追加) ・空港(令和元年改正で追加) ※ 引用:警察庁|小型無人機等飛行禁止法関係 |
ドローンはカメラを利用した目視点検や、赤外線カメラを使って内部の温度を確かめることによる破損調査などが行えます。
その一方で、従来のように打診による検査は実施できません。打診とは、ハンマーや特殊な機械でコンクリートを叩き、その打音の周波数成分を調査することにより、浮きや剝離、損傷の有無などを調べる方法です。橋梁によっては打診が必須な場所もあります。
橋梁の状況に応じて打診を行わなければならない場合は、ドローンのみの調査は行えず従来の点検方法との併用が必要です。
ドローンを用いた橋梁検査は、いつでもどこでも実施できるわけではありません。なぜなら現在、市販されているドローンはほとんどが雨風に弱いという弱点があるからです。
雨や風があり、天気が悪いときはドローンを使った橋梁検査を安全に実施できない可能性が高いです。
「雨風に強い機体の開発」が急がれると同時に、点検運用のマニュアル整備も必要です。
また、橋梁は現在の小型無人機等禁止法では飛行が禁止されている場所にあるものも多くあります。現在の法律では、該当エリアでドローンによる橋梁検査は行えません。将来的に法改正が行われる可能性もあるでしょう。
このほか、データ解析の技術促進やドローン操縦士の育成が不十分という課題もあります。ドローンを用いた橋梁検査はまだ始まったばかりで、クリアしなければならない課題は多いですす。しかしこれらの課題が解決できれば、ドローンによる橋梁検査を専門の会社に依頼しなくても自社でドローンによる橋梁検査が可能になるかもしれません。
今回は、橋梁検査をドローンで行う方法やメリット・デメリットを解説しました。
今すぐ従来の検査を、ドローンを使った検査に全て切り替えることはできません。しかし、少しずつ切り替えていくことで、大幅な検査の時間短縮やコストカットをすることができるでしょう。
また、ドローンの操縦士を自社で育成して、検査に使えるドローンを購入すれば、他の会社に依頼する手間も省けます。自社でドローンを購入し橋梁検査を行いたいと考えている会社は、ぜひ「株式会社ACSL」に一度ご相談ください。
当社は国産の産業用ドローンを開発しています。
当社が開発したドローンは、インフラ点検はもちろんのこと災害・調査などさまざまな分野で活躍しています。
橋梁検査では、首都高技術株式会社と株式会社NTTドコモが共同で確立した点検手法で、当社のドローンが採用されている状況です。ドローンの品質はもちろん、社会的に実績を認められている点が当社の魅力です。
既存機をそのまま購入することはもちろんのこと、自社で使いやすいようにカスタマイズを行うことも可能です。
ぜひ一度ご相談ください。