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農作業を効率化!ドローン利用の省力事例などを解説

農業
更新日:2022.12.12

農業用ドローンの活用によって、作業の効率化はもちろん、コストの削減などのメリットも得られます。2019年には、農業用ドローン普及計画が策定され、導入する際にかかる費用の一部に補助金を適用できるようになりました。

本記事では、農業用ドローンの主な特徴や導入した場合のメリット・デメリットなどを解説します。また、おすすめの農業用ドローンも紹介しているので、選定する際に役立ててください。

農業用ドローンとは

農業用ドローンとは、ノズルやタンクなどの農作業に必要な器具を積載できるドローンです。タンクに肥料や農薬などを入れて操作すれば、肥料をまく、農薬を散布するなど、人手を使わずに農作業を行いたい場合に有効です。

ドローンにはさまざまな種類があり、農業用ドローンはマルチローター型の無人航空機に分類されています。例えば、ITやロボットなどの最新技術を用いたスマート農業の普及に役立っています。

2019年には、農林水産省によって「農業用ドローン普及計画」が策定されました。農業用ドローン普及計画の目的は、スマート農業を推進するにあたって農業用ドローンの普及率を高めることにあります。

具体的な取り組みには、農業用ドローンを用いた助成金の設置が挙げられます。助成金の対象になるのは、農業用ドローンを用いた実証実験やオペレーターを育成するためのスクールなどです。

普及状況

農林水産省の統計によると、農業用ドローンの登録数は増加傾向にあることがわかっています。2016年の登録数はほぼゼロに近い状態でしたが、2018年には1,000台を超える台数が登録されました。

また、農業用ドローンの登録数が増えるにつれて、オペレーターの認定者数も急速に伸びています。2016年は1,000人に及ばない人数しか認定を受けていませんでしたが、2018年には5,000人に迫る勢いで認定者が増えました。

さらに、農業用ドローンの販売事業を展開するメーカーも増えているため、今後も農業用ドローンの普及が加速的に伸びることが予想できます。

参考:農業用ドローンの普及に向けて(農業用ドローン普及計画)|農林水産省

農業用ドローンが持つ4つの機能・活用事例

本章では、農業用ドローンに搭載されている主な機能と活用事例を紹介します。

農薬の散布

農業用ドローンには、農薬などの液体を散布する機能が搭載されています。機体にはタンクが積み込まれており、農薬を入れて操作するだけで空中から圃場に散布できます。1度に飛行できる圃場の広さは1ヘクタール程度です。

ただし、飛行時間や面積は、ドローンのタンクの大きさやバッテリーの容量などの性能に左右されます。ドローンには、機体の位置情報を正確に知るためにGPSなどの技術が導入されており、直進や右左折、ターンなどの操作が可能です。

あるドローンメーカーと企業が協働し、複数台のドローンを用いて農薬散布を行った事例を紹介します。84アールの田んぼを北と南の2つのエリアに分け、2台の農業用ドローンをそれぞれのエリアで農薬散布したところ、作業にかかった時間は5分程度でした。

水田の播種

農業用ドローンは、水田の播種にも利用できます。タンクに種子などを入れて操作するだけで、水田への種まきをスピーディーに行うことができます。平坦な水田での作業だけでなく、中山間地域での播種にも有効です。

ドローンを用いて播種する際は、種子が風にあおられて想定の場所にまけなくなる事態を避けなければなりません。そこで考案されたのが、鉄粉を種子の表面にコーティングする技術です。鉄粉によって重量が増した種子は、空中から散布しても効率良く播種できます。

ドローンを用いた播種は、試験段階のため実際の農作業では導入されていません。ある農場と研究所が共同開発した米の播種をドローンで行ったところ、ドローンを用いていない田んぼと同程度の収穫高を確保できたそうです。

肥料の散布

農業用ドローンを用いれば、肥料の散布も行えます。農薬散布のように液体を散布する機能もありますが、液体肥料の場合は水で希釈した大量の肥料を1度に積む必要があるため、効率性の観点から現実的には困難とされています。液体肥料よりも、粒タイプの肥料の散布に用いるのが一般的です。

ドローンでの肥料の散布は、すでに実用化されています。例えば、北海道などの広大な圃場では、ドローンを利用して肥料を散布しています。GPSなどで位置情報を正確に把握できるため、肥料の散布漏れや重複などの心配がありません。 農薬の散布と同様に、中山間地域などの作業がしにくい場所での散布ができるため、生産者の負担の軽減につながっています。

圃場センシング

カメラを設置した農業用ドローンを導入すれば、圃場センシングにも対応できます。圃場センシングとは、カメラが撮影した画像からデータを収集して分析を行うことで、圃場の状況を確認できる技術です。 さまざまなセンサーを用いることで、温度・湿度や降水量、土壌の水分率、照度、風速などのデータを収集・分析できるため、圃場の管理がしやすくなります。野菜の栽培に圃場センシングを導入した事例では、生産者の栽培ノウハウの可視化に成功し、新規生産者の育成に役立っています。

ドローンを農業に活用するメリットとは

本章では、農業用ドローンを活用した場合に得られるメリットを詳しく解説します。

軽量で扱いやすい

農業用ドローンは軽量かつ小型なので、1人でも持ち運びや操作がしやすいことがメリットに挙げられます。直進やターンなどの自由自在な操作ができます。動力源はバッテリーのため、早朝の作業でも騒音などを気にする必要はありません。また、農業用ドローンがあれば、農薬などのタンクを背負わなくても作業を行えます。

効率良く農作業を進められる

農業用ドローンを活用すると、効率良く農作業を進めることができます。従来は、人の手によって農薬や肥料などの散布、播種などが行われるのが一般的でした。一方で、ドローンを利用すれば空中からの散布が可能なため、1度で広い範囲に農薬や肥料をまくことができる上に、散布後のタンクの洗浄も簡単です。

また、散布にかかる時間を大幅に短縮できるようになります。一般的に、5分の1程度まで時間を削減できるといわれています。

他にも、目視での作業が難しい夜間の農作業にも有効です。ドローンに飛行ルートを設定するだけで、人手を使わずに農作業を効率良く行えます。ドローンを活用すれば、生産者の農作業にかかる負担を減らせます。

好きなタイミングで防除が可能

農業用ドローンがあれば、圃場の状態や農作物の生育状況を確認しながら、病害虫の発生を予防できます。薬剤を用いた防除を委託した場合、業者の都合で散布するスケジュールを自由に設定できないケースも少なくありません。

防除に適した時期に薬剤を散布するのは他の圃場でも同じため、自身が管理する圃場の状態などに合わせた薬剤の散布ができない場合が多いです。

農業用ドローンを導入すれば、委託業者の都合に合わせる必要がなく、圃場の状態を確認した上で適切な時期に薬剤の散布が可能です。適切な時期に散布できるので、農作物に対する防除効果が期待できます。

高齢化への対応が可能

農業用ドローンの導入によって、生産者の高齢化へも迅速に対応できるようになります。特に、夏場は炎天下の中で長時間の農作業を行わなければならず、熱中症などのリスクが高まります。

ドローンを活用すれば、高齢の生産者でも体への負担を減らしながら農作業を続けることも可能です。また、高齢の生産者に代わって、若い世代が農作業を行う場合にも、スムーズに引き継ぐことができます。

作業データを管理・活用しやすい

農業用ドローンは、単に農作業を軽減させるだけではありません。ドローンにカメラやセンサーを設置すれば、農作物や圃場全体の状況をデータで管理できるようになります。さらに、ドローンから収集したデータを分析して蓄積すれば、次回以降の栽培に活かすことも可能です。

農作業は、生産者の熟練の知識や技術を頼りに農産物の生育状況などを観察し、問題に対して適切な対応が求められます。しかし、ドローンを用いることで、データによる精密な管理が可能になるため、安定した栽培ができるようになります。

コスト削減につながる場合もある

農業用ドローンを導入すれば、コストの削減も行えます。特に、無人・有人のヘリコプターでの散布作業や播種などを行っている場合、大幅なコスト削減が期待できます。一般的に、ヘリコプターの購入費用は1,000万円以上かかるといわれており、燃料費や維持費などのコストも負担しなければなりません。 一方で、ドローンは充電器やバッテリーなどを含めても数百万円程度に収められます。年間の維持費を含めても、ヘリコプターを購入するよりコストを削減できます。また、防除などを委託している場合は、委託費用の削減も可能です。

スペースが限られた場所でも作業しやすい

農業用ドローンがあれば、重機が進入できない場所や人が作業するには狭すぎる場所などで、効率良く作業を行うことも可能です。ドローンは空中から農薬などを散布するため、勾配があり農作業が難しい地形でも安全に問題なく作業できます。

また、カメラやセンサーを設置して操作すれば、生産者が目視で確認しづらい場所でも正確に圃場の状況を確認できるため、作業をスムーズに進められます。

農業用ドローンを使用した場合のデメリットとは

農業用ドローンを導入すれば、上述したメリットを得られますが、以下で解説するデメリットも考慮する必要があります。

逆にコスト増につながるケースもある

農業用ドローンの導入で得られるメリットの一つに、コストを削減できる場合があると解説しましたが、圃場の面積や購入するドローンの性能などによってコストが増加する可能性があります。

ドローンを農作業に利用するには、本体の購入費用だけでなく維持費や定期点検などのコストがかかります。さらに、本体に不具合や問題が出てくれば、修理費も必要です。保険に加入していれば、故障などが必要になった場合の保障を受けられますが、加入していなければ全ての費用を自分で支払わなければなりません。

数十万円程度の安価なドローンも販売されていますが、性能や安全面の観点から安くても100万円以上の機体を選ぶのが望ましいとされています。また、圃場の広さによって、コストを削減できるか、負担が増えるのかが変わってきます。

例えば、7ヘクタールを超える圃場を管理している場合は、ドローンを導入する方がコストの削減につながりやすいです。農業用ドローンの機能性の高さや安全面を考慮するのはもちろん、導入費用と導入によって削減できるコストを比較した上でコスト削減の効果を得られるのか、慎重に検討するようにしましょう。

国土交通大臣への許可申請が必要

農業用ドローンを利用するためには、国土交通大臣から許可・承認を受けなければなりません。許可・承認を得ずにドローンを利用した場合、航空法に違反するため注意が必要です。

許可申請は、ドローンの利用を開始する日から10開庁日前までに行う必要があります。申請先は、地方航空局もしくは空港事務所の窓口です。申請はオンラインサービス「DIPS」でも行うことができます。

書面もしくはオンライン申請のいずれにしても、申請内容に不備があれば審査結果が出るまで時間がかかるため、余裕を持って早めに申請を行うようにしましょう。国土交通省のホームページでは、飛行開始の予定日から3~4週間前に申請するのを推奨しています。

また、ドローンを操作するには免許などは不要ですが、知識や技術がない状態で操作すれば、安全面に配慮した飛行ができない可能性があります。例えば、住宅街の一部にある圃場で防除の目的で薬剤を散布する場合は、ドローンの操作を誤れば周辺の住宅に薬剤が飛沫するかもしれません。 薬剤は人体に影響を及ぼすリスクがあるため、専門のスクールなどを利用してオペレーターに必要な知識や技術を習得しましょう。十分な知識と技術があれば、安全かつ効率的な農作業を進められます。

補助金を活用して農業用ドローンを導入する方法

農業用ドローンを導入する場合、導入費用の一部を補助金で補填できます。具体的にどのような補助金制度を活用できるのか、以下で詳しく解説します。補助金の申請を検討する際の参考にしてください。

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

農業用ドローンを導入する際に活用できる補助金の一つに、「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」があります。強い農業・担い手づくり総合支援交付金とは、産地の収益アップと生産者の経営発展を推進する事業の一環で設置された制度です。

具体的には、農作業に必要な機械や施設を導入する生産者に対して交付金を支援する、事業モデルの育成を支援するなどです。交付金の申請は、規模に関係なく受けることができます。

交付金を申請するには、事業内容別に設けられている条件を満たす必要があります。事業内容は、「産地基幹施設等支援タイプ」「先進的農業経営確立支援タイプ」「地域担い手育成支援タイプ」の3タイプです。

農業用ドローンの導入に活用できるのは、先進的農業経営確立支援タイプと地域担い手育成支援タイプのいずれかです。先進的農業経営確立支援タイプでは、広域に展開する農業法人などが対象で、創意工夫で経営の高度化を推進する目的で農業用機械・施設を導入するための支援を受けられます。

助成対象になるのは、耐用年数が5~20年の農業用機械・施設で、補助率は3割以内です。交付金には上限額が設けられており、個人・法人でそれぞれ異なります。個人の場合は1,000万円までで、法人の場合は1,500万円までです。

地域担い手育成支援タイプでは、生産者が経営基盤の確立・発展を目的に農業用機械・施設を導入するための支援を行っています。助成対象は、耐用年数が5~20年の農業用機械・施設で、補助率は3割以内です。上限額は個人、法人を問わず、一律で300万円までです。

参考:強い農業・担い手づくり総合支援交付金(先進的農業経営確立支援タイプ・地域担い手育成支援タイプ)(令和元年度)|農林水産省

産地生産基盤パワーアップ事業(収益性向上対策)

農林水産省が実施している「産地生産基盤パワーアップ事業」の支援を受けることも可能です。産地生産基盤パワーアップ事業とは、産地の収益力を高めるために経済面を含めた総合的な支援を行っている事業です。

具体的には、各自治体の方針に従って生産者や農業に関連する団体などが協議を行い、収益性向上を目的にした産地パワーアップ計画を作成します。都道府県知事が計画を承認すれば、取り組みの実現に必要な経費を助成してもらえる仕組みです。

支援の対象者は、産地パワーアップ計画の作成に関わった個人の生産者や農業者団体、農業に関連する組織・団体などです。助成の対象になるのは、農作物の処理加工施設や低コスト耐候性ハウスなどの整備費用、農業用機械のリース・取得、生産資材の導入などが挙げられます。

ただし、産地パワーアップ計画を作成するだけでは、助成は受けられません。産地全体で協議して決めた成果目標を実現するための取り組みを実施する必要があります。農林水産省では、8項目の具体的な成果目標を提示しており、いずれか1項目を設定するように義務付けています。成果目標の一部は、以下のとおりです。

・生産コストもしくは集出荷・加工コストを10%以上削減する

・販売額もしくは所得額を10%以上増加させる

・労働生産性を10%以上向上させる など

助成の補助率は、整備に関するものはもちろん、農業機械のリース・取得や生産資材の導入のいずれも5割以内と定めています。

参考:産地生産基盤パワーアップ事業(収益性向上対策・生産基盤強化対策)|農林水産省

デジタル田園都市構想交付

デジタル田園都市構想推進交付金は、内閣府のデジタル庁によって設けられた交付金制度です。デジタル田園都市構想とは、デジタル技術を活用して地方の活性化を実現し、持続可能な経済社会を目指すための構想です。

デジタル実装タイプと地方創生テレワークタイプの2つの事業の支援を行っています。農業用ドローンの導入に活用できるのは、デジタル実装タイプです。デジタル実装タイプとは、デジタル技術を用いて、地域の課題の解決や魅力アップを目的にした事業を指します。

農業の分野では、ロボット技術や農業用ドローンなどを活用するスマート農業が挙げられます。デジタル実装タイプは対象事業を3タイプに分けており、スマート農業は、優良なモデル・サービスを活用した実装の取り組みのタイプ1です。

交付金を申請できるのは、都道府県では9事業まで、市町村では5事業までと定められています。交付金を受けるためには、以下に挙げる共通要件とタイプ1の要件を満たす必要があります。

共通要件

・デジタル技術を活用する目的が、地域の課題解決や魅力アップのための取り組み

・地域内外の関係者と連携して、事業を推進するための体制づくりが整備されている

タイプ1要件

・実用化された優良なモデルやサービスを活用し、地域の特性を活かしたサービスを実装する取り組み

・構造改革のための基本原則を遵守するための検討を開始している

交付金の対象者は、地方公共団体です。タイプ1の交付金の上限額は、1事業あたり国費1億円で、補助率は5割です。上限額が1億円のため、最大でも2億円以内に事業費を収める必要があります。

参考:令和3年度補正予算 デジタル田園都市国家構想推進交付金 デジタル実装タイプ概要|内閣府

農業用ドローンの導入価格の目安

農業用ドローンの機体購入費は、100~300万円程度が相場とされています。機体購入費の他にかかるコストは、定期点検などにかかる維持費です。一般的に、定期点検には1万円前後の費用がかかります。

また、任意保険は、保険料が1万6,000円から加入できるものがあります。ドローンの操作方法などの知識や技術をスクールで身につけたい場合は、20~30万円程度の費用が必要です。

まとめ

農業用ドローンの導入によって、農薬散布や播種などの農作業を効率化できます。カメラやセンサーなどを設置すれば、分析データを今後の栽培に活かせます。

ACSLは国産の産業用ドローンを開発しており、インフラ点検、災害、調査などさまざまな分野で採用されています。

2021年12月に発表した小型空撮ドローンSOTEN(蒼天)に搭載されている標準カメラは、農作物の生育状況を見る際に用いられるマルチスペクトルカメラがワンタッチ切り替え可能で、圃場センシングにもご活用いただけます。

まずは、気軽にお問い合わせください。

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