産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせドローンは、無線操縦可能な小型航空機の総称です。最初は軍事用として開発されましたが、2000年代に入ると運輸や撮影など民間での利用が始まりました。日本では、2015年以降企業が積極的にドローンの開発や事業への導入を試み始めています。
現在はドローンの使い道というと真っ先に空撮が挙げられますが、建物の点検にもドローンが活躍しています。なかでも太陽光パネルの点検は時間や経費の大幅な短縮ができるので、ドローンによる点検を取り入れる企業が増えてきました。
この記事ではドローンで太陽光パネルの点検をする方法やメリットを詳しく解説します。
目次
太陽光パネルは、太陽光発電を行う設備のことです。長期間屋外で使うものであるため、定期的なメンテナンスや点検が必要になります。太陽光パネルの設置場所は、屋根の上や郊外の広い空き地、山の中など人が行き来するには不便なところが大半です。
従来の点検方法は、人が太陽光パネルのそばまで行って目視して不備や破損などがないか確認していました。この方法では人手と手間がかかります。また一般住宅の場合は、1軒ずつ屋根に上り下りしなければなりません。広大な敷地一面に太陽光パネルが取り付けられている場合は、作業員をたくさん動員して人海戦術で行う必要があります。
一方でドローンを用いた点検方法は、ドローンを飛ばして搭載されたカメラで太陽光パネルを撮影することで、破損がないか確認可能です。赤外線カメラで撮影を行えば、通電して発熱しているかどうかもすぐに分かります。見た目に表れない破損もしっかり把握できるのがポイントです。
ドローンで検知できる太陽光パネルの異常は、以下のようなことです。
・太陽光パネルの表面上の破損や汚れ
・太陽光パネルの内面の破損
・太陽光パネル周辺の状態
【太陽光パネルの表面上の破損や汚れ】
太陽光パネルの表面上の破損や汚れとは、ガラスの汚れや破損のことです。これはカメラを搭載したドローンで上空から撮影すれば分かります。
ドローンは小回りが効くのでアップも引きの画像も自由自在です。1台1台のパネルによった撮影もできますし、パネル全体の撮影をすることも可能です。
【太陽光パネルの内面の破損】
太陽光パネルの内面の破損とは、コネクターの異常や抜けなどです。太陽光パネルが正常に作動していれば、発電して発熱します。コネクターに異常があれば太陽光パネルの温度は低下するか、逆に異常に高温になります。これは、赤外線カメラで撮影すればすぐに判別が可能です。
太陽光パネル内面の破損は、目視では分かりにくいのでドローンによる検査をした方が的確に分かります。
【太陽光パネル周辺の状態】
ドローンは太陽光パネルの設備周辺の地形に、異常がないか確認することも可能です。航空写真を使えば、土砂崩れや落石の危険なども分かります。
近年、自然災害による太陽光パネルの破損が問題になっていますが、パネル周辺の状況を小まめにチェックしていれば、災害を未然に防ぐこともできるでしょう。
では、ドローンで太陽光パネルの点検を行うとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に詳しく解説していきます。
従来の方法で太陽光パネルの点検を行うと、たくさんの作業員が必要です。また現場までいく交通費やガソリン代などもかかることもあるでしょう。ドローンを用いた点検ならば、操縦者がいれば検査が可能です。
この他ドローンを遠隔操作すれば現場までいかなくても検査ができるので、よりコスト削減につながります。効率良く点検作業を進められれば、1日で複数の現場を回ることができ、結果的に人件費などのコスト削減につながるでしょう。
作業時間が短縮される
目視による点検は、時間がかかります。点検場所が屋根の上などの高所だったり山奥だったりすると、検査を始めるまでの時間もかかるでしょう。しかしドローンを使えば、カメラで撮影するだけでたくさんのパネルを短時間で点検が可能です。
また赤外線カメラを使えば、目視による検査では分からなかった破損もすぐに広範囲で分かります。目視による検査が1日に1現場しかできなかったとしたら、ドローンを用いた検査は、1日3~4つの現場で点検が可能になることもあるでしょう。
少ない人員で作業できる
従来の目視による点検では、大勢の作業員が必要になるケースもめずらしくありません。特に大規模な太陽光パネル置き場では、10名を超える作業員が何時間もかけて点検しなければならないこともあるでしょう。 しかしドローンを使えば、必要なのは操縦者だけです。写真や映像を遠方へ送ることも可能なので、ドローンだけ現場へ飛ばしてその他の技術者は、事務所にいて確認作業だけすることもできます。
安全に点検できる
破損している太陽光パネルにうかつに触ると感電の恐れがあります。特に水没したパネルに触ると危険です。
また通常の点検でも屋根の上など高い場所にある太陽光パネルの点検は、転落の危険が伴います。
しかしドローンを使えば、人の手が触れなくても破損箇所や破損具合が分かります。修理の計画もたてやすく、作業員の安全も守れます。特に、災害の後に太陽光パネルの状態を調べたい場合、ドローンによる遠隔検査は役立つことでしょう。
※ 出典:経済産業省|太陽電池発電設備による感電事故防止について
精度の高い点検が可能
目視による点検より、ドローンのカメラを通した点検の方がより確実に破損や汚れが分かります。特に太陽光パネルのコンダクターの破損や抜けなど、内部の故障を発見するには、ドローンが大変有効です。
目視では見つからなかった瑕疵が、ドローンの赤外線カメラを用いた検査で判明したという例もあります。
点検の履歴をチェックしやすい
一つの会社が多くの現場の検査をしている場合、しっかり点検結果を管理していなければいつ、どこで、どのような検査をしたのか分からなくなることもあります。
しかしドローンによる検査では、デジタル写真などの記録が残ります。このためいつ、どこの現場で行った検査で発見した破損や汚れの履歴もチェックしやすいでしょう。
ドローンでの点検は、従来の方法で点検を行うより費用が安くなることが大きなメリットですが、実際にどのくらい費用がかかるのでしょうか。この項で詳しく解説します。
一般的な太陽光パネルのメンテナンス費用は、業者によって異なります。
太陽光パネルの点検は固定価格買取制度を導入している太陽光発電パネルと50kw以上のパネルは義務化されています。その一方で固定価格買取制度を導入していない50kw未満のメンテナンスは義務化されていません。
しかし4年に1度の点検やメンテナンスを経済産業省が推奨しています。(※1)そのため4年に一度点検を申し込める様になっている業者が多いでしょう。
各メンテナンス費用は以下のとおりです。(※2)
・住宅用の太陽光パネル(固定価格買取制度を導入しておらず50kw未満):1回5万円~10万円程度
・固定価格買取制度を導入している50kw未満の産業用太陽パネル:年間10万円〜30万円程度
・固定価格買取制度を導入している50kw以上の産業用太陽パネル:年間100万円~200万円/MW
なおメンテナンス費用は目視だけではなく清掃や修理、故障時の対応などの料金も入っています。業者ごとにメンテナンスに含まれる内容が異なるので、詳しくは問い合わせてみましょう。
※1 出典: 経済産業省|事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)
※2 出典:ドローンナビゲーター|太陽光パネル点検はドローンが当たり前?メリットや費用・報告書も
ドローンを用いた太陽光パネルのメンテナンス費用は、業者によって異なります。「ドローン 太陽光パネル 点検」で検索すると複数の業者がヒットします。なかにはメンテナンスの料金を公開しているところもあるので、確認してください。
例えば2.0Mwまでは検査費用200,000円、以後1Mw追加するごとに50,000円という業者もあります。
専門業者に太陽光パネルのドローンによる点検を依頼する流れは以下のとおりです。
・業者に点検を依頼する
・業者がデータセンターに発電所を登録し、自動航空航路を計算
・現場で安全や気象情報卯などを確認する
・検査を実施し、解析する
・解析を共有する
業者によって細かい部分に違いはあるので、詳しい流れを説明してもらいましょう。
ドローンによる点検はメリットが大きいように思えますが、現時点では課題もあります。この項では、ドローンでの点検による課題を紹介します。
ドローンは、強風や大雨の日は飛ばすことはできません。また赤外線カメラによって内部の以上を点検したい場合は、発電効率の高い晴天時に点検作業する必要があります。天気は人の手でどうこうすることはできません。
このため天候の状況によっては点検が中止となることを前提とし、日程に余裕をもって検査を申し込むことが必要です。また災害の後、太陽光発電パネルを調査したい場合も、天候によっては難しいこともあるでしょう。
者に依頼するくらいなら、自分でドローンを飛ばして検査をしたいと思う方もいるかもしれません。しかしドローンの操縦には経験と技術が必要です。
2022年4月現在、ドローンを操縦するのに資格や技術は必要ありませんが、総重量200g以上のドローンは航空法による制限を受けます。
ドローンを購入して自分で点検したい場合は、いくつかのハードルを越える必要があることを覚えておきましょう。
今回は、ドローンによる太陽光発電パネルのメンテナンスを行うメリットを解説しました。従来の方法よりドローンを使ったメンテナンスを行えば、コストや時間、手間を削減できます。
自社でドローンを購入してメンテナンスに役立てたい場合は、株式会社ACSLにご相談ください。弊社は国産の産業用ドローンを開発しており、インフラ点検はもちろんのこと災害・調査などさまざまな分野で運用されています。
例えば2021年12月に受注を開始したSOTEN(蒼天)はカメラがワンタッチで切り替え可能で、オプション品で赤外線+可視カメラを使用可能です。太陽光パネルの点検にも使えます。
ぜひ一度ご相談ください。