産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせビジネスシーンでドローンを活用するにあたって、具体的に導入を検討すると、どのように減価償却するのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
「どの資産に該当するの?」「何年で償却する?」など、税法上どのように扱われるのかわからない方が多いはず。そこでドローンの減価償却について解説します。
耐用年数や減価償却費の計算方法などを解説するので、ビジネス分野でドローンの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
減価償却とは、資産の価値を時間経過に応じて徐々に減らしていき、経費化する会計上の手法の一つです。
固定資産の取得費用全額をその年だけの費用とせず、耐用年数に応じて配分し経費として計上することで、時間経過による資産の価値減少を反映して、財務報告の正確性を高めるのが目的です。
例えば300万円の車を購入した場合、購入年に50万円翌年に50万円といったように、何年かかけて少しずつ経費に勘定します。
減価償却は、建物や機械、車両など「固定資産」に適用されます。これらは長期間使っていくうちに徐々に価値が低下し、最後には資産価値がなくなるものです。
時間が経つにつれて資産の価値は減っていくという考え方に基づくため、時間が経っても価値が減らないものには適用されません。
減価償却できる資産は「業務で使用している資産」の中でも「時間経過で劣化する資産」が当てはまります。
例えばオフィスビルや業務上使用するパソコン、営業車など、以下のような形ある資産は有形固定資産として減価償却できます。
【有形固定資産の例】
・建物
・構築物
・機械装置(パソコン・プリンターなど)
・器具備品
・車両運搬具 など
また固定資産というと形のあるものをイメージしがちですが、以下のような無形のものも含まれます。
【無形固定資産の例】
・ソフトウェア
・特許権
・商標権
・意匠権 など
このように有形・無形に問わず、経年により価値が低下する「業務で使用している資産」は、減価償却することが可能です。
固定資産の中でも「業務に使っていない資産」や「時間が経っても価値が低下しない資産」は、減価償却できません。
そもそも業務に使っていない資産が対象外なのはもちろんですが、業務上使用しているものでも、下記のように時間経過により価値が低下しないものは対象外です。
【減価償却できない固定資産の例】
・土地
・借地権
・電話加入権
・書画・骨董品
・稼働休止中の資産 など
また業務上使用するものであっても、稼働休止中の資産も減価償却の対象外です。
たとえ業務に必要な機械や車両などであっても、稼働休止している状態では、業務に使用中といえないためです。
減価償却を行うのは、赤字になるのを防ぐためです。
例えば100万円の産業用ドローンを10台購入して、1,000万円の費用がかかったとすると、そのまま経費計上すると1,000万円の赤字が生まれるかもしれません。
収入が例年通りでも支出が大きくなることで赤字になってしまうと、銀行からの融資を打ち切られてしまうリスクがあります。
そこで1,000万円で購入したドローンの代金を減価償却により、少しずつ経費に計上していくことで、毎年の正確な利益がわかるようになります。
ドローンを業務で使用している場合は、減価償却が可能です。
減価償却の対象は「業務で使用している資産」かつ「時間の経過によって劣化する資産」なので、空撮や点検、農業、配送などビジネスに使用されるドローンは、減価償却の対象になります。
ドローンも車や建物と同じく、年月とともに劣化し価値が下がる資産です。減価償却として経費に計上できます。
ただし前述したように、業務上使用するものであっても、稼働していない場合は減価償却の対象外なので要注意です。
減価償却可能なドローンですが、減価償却するには「資産区分」が重要です。
資産区分ごとに耐用年数が定められているので、資産区分がわからないとどのくらいの期間にわたって減価償却できるのか判断できません。
しかしドローンの資産区分は明確に定められておらず、用途によって見解が異なるのが現状です。
ドローンは航空法上では「無人航空機」と定義されますが、税法上の「航空機」は人が乗るものを想定しているため、無人機であるドローンは該当しません。
ドローンは税法上「機械装置」もしくは「器具備品」に該当します。
税法上の航空機とは、いわゆる飛行機のような人が乗るものを想定しているので、資産区分としてドローンは航空機ではありません。
国税庁でも、ドローンは税法上航空機には当たらないとしています。
「機械装置」もしくは「器具備品」と幅があるのは、ひと口にドローンといっても小さく軽いホビー用に近いものから、数百万円する産業用ドローンまで多種多様にあるためです。
ドローンは機体の規格や価格に大きな幅があるため、ひとまとめに区分するのが難しくなっています。
税法上「機械装置」もしくは「器具備品」に分類されるドローンですが、耐用年数は用途によって異なります。
例えば、同じドローンでも撮影用であれば耐用年数5年となるのに対し、農業用であれば耐用年数が7年になるといったように、業務上使用される用途によって耐用年数に差が生まれます。
同じドローンであっても税法上はひとくくりにできないため、購入した「ドローンを何に使用するか」を基準に、どの区分に当てはまるのか考えましょう。
ドローンの耐用年数は用途ごとに異なるといっても「どの用途で使用するとどのくらいの耐用年数なの?」と疑問に思われるでしょう。
そこで、用途別にドローンの耐用年数を紹介します。
空撮を行い撮影用として使用する場合、耐用年数は5年です。
建設現場などで撮影用に使用されるドローンは「器具および備品」の「光学機器および写真製作機器」に掲げる「カメラ」に該当すると国税庁が見解を示しています。
「撮影用」という用途を主軸にしているので、税法上ではカメラ付きのドローンではなく、カメラにドローンが付随していると考えられます。
農薬散布用として使用する場合、耐用年数は7年です。
農薬散布に使用されるドローンは、減価償却資産の耐用年数表の「機械および装置」「農業用設備」に該当すると考えられます。
ただし農業に使用する場合であっても、作物の生育状況の監視など、カメラがメインになる場合は、耐用年数が異なるかもしれません。
宅配サービスとして使用する場合は、耐用年数が10年と長くなります。
減価償却資産の耐用年数表における「機械および装置」の「運輸に付帯するサービス業用設備」に該当すると考えられるためです。
宅配サービスでの利用はまだ一般的ではありませんが、近年多くの企業や自治体がドローンによる配送サービスの実証実験を行っており、宅配・配送サービスの実用化も近いでしょう。
開発研究用にドローンを使用する場合は、耐用年数は4年もしくは7年となります。
耐用年数に幅があるのは、同じ研究目的でも用途によって定められた耐用年数が異なるためです。
撮影用に使用するのであれば、開発研究用減価償却資産の耐用年数表における「器具および備品」の「撮影機」に該当するため、耐用年数は4年となります。
しかし撮影機ではなく、開発研究用減価償却資産の耐用年数表における「機械および装置」に該当する場合は、耐用年数は7年です。
購入したドローンが中古品だった場合は、使用可能期間を合理的に見積もって耐用年数を決める必要があります。
中古で購入したドローンは、資産としての価値は減り、残りの使用可能年数も短くなっています。
とはいえ、使用可能な期間を見積もるのは難しいでしょう。見積もりが難しい場合は、国税庁が規定している以下のような簡便法を用いて、計算した年数を耐用年数にします。
・(耐用年数-経過した年数)-経過年数の20%相当の年数=耐用年数
例えば耐用年数10年で経過年数4年のドローンを購入した場合、(10年-4年)-0.8=5.2年となります。1年未満の端数は切り捨てるため、耐用年数5年という結果になります。※計算後の年数が2年未満であれば2年とする
ただし中古品の購入価格が、同じものの新品価格の50%を超えている場合は、新品と同じ耐用年数が適用されます。
減価償却費の計算方法には、定額法と定率法の2つがあります。
建物・無形固定資産以外の資産は、固定資産ごとに定額法・定率法どちらかを選択でき、早く費用化できる定率法を選ぶのが一般的です。
定額法は、耐用年数の最後の年まで一定金額で償却する計算方法です。
計算がシンプルで、費用負担は毎年同じなのがメリットです。
定額法の計算式は「減価償却費=取得価額×定額法の償却率」で行い、定額法の償却率は
「e-Gov法令検索」の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表七・別表八に定められているものを使用します。
例えば撮影用ドローン(耐用年数5年)を100万円で購入した場合、下記のようになります。
償却年 | 償却額 | 計算式 |
購入年 | 20万円 | 100万×0.2 |
2年 | 20万円 | |
3年 | 20万円 | |
4年 | 20万円 | |
5年 | 20万円 |
※本来は減価償却期間経過後の価額は「0円」とせず「1円」残して、固定資産台帳に記載する
購入額100万円を耐用年数5年で分割して費用計上することで、毎年20万円ずつ減価償却して適切に損益計算できます。
定率法は、初年度に減価償却費を大きな金額で計上して、毎年だんだんと負担額を小さくしていく計算方法です。
利益に余裕があり初年度に負担が大きくなっても大丈夫な場合に、定率法が選ばれます。
定率法の計算式は「減価償却費=(取得価額-減価償却累計額)×定率法の償却率」で行われますが、計算した減価償却費が「資産の取得価額×耐用年数ごとに定められた保証率」以下になると「改定償却率」を使用します。
途中で償却率が異なるのは、減価償却がある程度進んだ段階で、改定償却率に切り替えることでスムーズに償却を完了させるためです。
例えば撮影用ドローン(耐用年数5年)を100万円で購入した場合、下記のようになります。
償却年 | 償却額 | 計算式 |
購入年 | 40万円 | 100万×0.4 |
2年 | 24万円 | 60万×0.4 |
3年 | 14万4,000円 | 36万×0.4 |
4年 | 10万8,000円 | 21万6,000×0.5 |
5年 | 10万8,000円 | 残額 |
※本来は減価償却期間経過後の価額は「0円」とせず「1円」残して、固定資産台帳に記載する
購入額100万円のおよそ半分を初年度に償却し、徐々に償却額を減らしながら減価償却していきます。
減価償却の仕訳方法には「直接法」と「間接法」の2つの方法があります。それぞれの会計処理の方法を解説します。
直接法は、固定資産から減価償却費を直接減らしていく方法。資産価値がどのくらい残っているのか、ひと目でわかりやすいのがメリットです。
例えば撮影用ドローン(耐用年数5年)を100万円で購入し、定額法で減価償却を行う場合の償却額20万円を直接法で仕訳すると、下記のようになります。
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 | 200,000 | 工具器具備品 | 200,000 |
減価償却費によって工具器具備品の購入費用が20万円減ったため、購入費用の残りは100万円-20万円=80万円です。
間接法は新たに「減価償却累計額」という勘定科目を設けて計算する方法。貸借対照表上で、取得原価がすぐに把握できるのがメリットです。
例えば撮影用ドローン(耐用年数5年)を100万円で購入し、定額法で減価償却を行う場合の償却額20万円を間接法で仕訳すると、下記のようになります。
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 | 200,000 | 減価償却累計額 | 200,000 |
工具器具備品から直接減らさずに、減価償却累計額という勘定科目を設けて間接的に処理するのがポイントです。
ドローンの購入費用が30万円未満の場合は、少額減価償却資産の特例に該当する可能性があります。
減価償却対象のドローンであっても、購入金額が30万円未満で以下のような一定の要件を満たせば、当期の必要経費に算入できます。
・青色申告を行っている中小企業者または農業協同組合などで、資本金1億円以下または従業員数が500人以下の法人(連結法人は適用除外)
・2006年4月1日~2022年3月31日までに取得し事業に使った資産(合計300万円が上限)
中小企業などで産業用ドローンを使用する場合は、少額減価償却資産の特例に該当しないかチェックしてみましょう。
ちなみに購入金額が10万円未満のものは、減価償却の対象外のため、通常の消耗品費として計上できます。
※出典:国税庁. 「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
ドローンは減価償却可能な資産ですが、現状は耐用年数表にドローン専用の区分が存在しません。
そのため産業用ドローンはたとえ同じドローンでも、用途によって「資産区分」や「耐用年数」が異なります。
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