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ドローンの姿勢制御の仕組みとは?なぜドローンは安定飛行が可能なのか解説

性能・機能
更新日:2023.04.07

空撮やエンターテイメントでの利用、ホビーなどさまざまなジャンルで、ドローンが活躍するようになってきており、身近な存在となりました。

しかしドローンがどのようにして飛行しているのか、よくわからないまま飛ばしている方もいらっしゃるかもしれません。

なぜドローンは安定した姿勢で飛べるのか、ドローンの機体バランスを保つ「姿勢制御」機能について仕組みを紹介します。

ドローンの安定した飛行の仕組みが気になる方はぜひ参考にしてみてください。

ドローンの姿勢制御とは?

姿勢制御とは飛行中のドローンの姿勢を水平に保つことで、安定した飛行状態を維持する機能です。

空中で安定した姿勢を保てることで、ドローンは空中を自在に飛行することが可能になります。

もし姿勢制御機能が正常に作動しなくなれば、墜落などの重大な事故につながりかねません。

またドローンが指示通りの場所を飛行できるのは、GPSで自機の現在位置を把握して、都度修正することができるからです。

ドローンが安定して飛行するためには、姿勢制御とGPSは欠かせない機能となっています。

ドローンの姿勢制御の仕組み

ドローンの姿勢制御の仕組み

ドローンが姿勢制御を行うことができるのは、プロペラとセンサーのおかげです。

どちらも姿勢制御に欠かせない存在で、それぞれがどのような働きを行っているのか解説します。

プロペラの回転

ドローンのプロペラの回転は一定ではなく、個々に回転スピードや回転方向を変えられるようになっています。

ドローンによってプロペラの枚数は4枚や6枚など幅がありますが、それぞれにモーターが付いており、独立して動けるのが大きな特長です。

各プロペラの回転スピードや回転方向を変えることで、進行方向を変えたり、止まったりできます。

ホバリングしているとき

ホバリング時は隣り合うプロペラを逆回転させることで、一定の位置にとどまり続けることが可能です。

プロペラを回転させる際に発生する「旋回しようとする力」を互いに相殺させることで、機体の向きを一定に保つ仕組みになっています。

もしプロペラが全て同じ方向に回転してしまうと、ドローンは水平方向にグルグルと回転してしまうことになります。

つまりホバリング中は隣り合うプロペラを逆回転させることで「左回転しようとする力」と「右回転しようとする力」を相殺して、一定位置から動かないようにしているのです。

ちなみに相殺している力を緩めることで、機体を左右に旋回させています。

上昇・下降するとき

上昇・下降させるときは、それぞれのプロペラの回転スピードを調節することで制御が可能です。

ドローンを上昇させる際は、プロペラの回転速度を上げて、反対に下降させる際はプロペラの回転速度を下げています。

ドローンはプロペラの回転によって揚力(上向きの力)を発生させているので、プロペラの回転速度を調節することで、揚力をコントロールして上昇・下降させています。

左右に動くとき

左右に動く際は動かしたい方向のプロペラの回転を遅くし、反対側の回転を速くすることで移動しています。

右に動きたいなら右側のプロペラを遅くし、左側のプロペラを速くしており、左に動きたい場合も同様にプロペラの回転速度を調節しています。

こうすることで機体が傾くので、動かしたい方向へ進めることが可能です。前後に動く際も、同様にプロペラの回転速度を調節しています。

センサーの働き

ドローンの姿勢を制御するには、プロペラと同様にセンサーの働きも重要です。

さまざまなセンサーが備わっていますが、代表的なものとして加速度センサーや角速度センサー、地磁気センサー、気圧センサーなどが挙げられます。

姿勢制御には加速度センサーと角速度センサー(ジャイロセンサー)が関係しているので、それぞれ解説します。

角速度センサー(ジャイロセンサー)

ジャイロセンサーとも呼ばれるもので、角度がどれくらい変化したかを検出するセンサーです。

風に煽られた際などに、機体がどれくらい傾いたのかや向きを把握するものです。自機の姿勢がどのように傾いているのか把握してくれます。

ラジコンヘリの時代から活用されてきたセンサーで、カーナビやスマートフォンなど身近なデバイスにも搭載されています。

加速度センサー

ドローンのスピードの変化量を検知するセンサーで、一定時間内でどれだけ移動したかを検知してくれます。

速度の変化量を検知することで、ドローンの傾きや動きを把握しています。

加速度センサーはあくまで傾きしか把握できないので、機体が傾いたまま移動していても分かりません。

移動していることを把握する加速度センサーと合わさることで「傾き具合」と「速度」の両方を把握できます。

自機の状態を正しく把握することで、水平に保つためのモーター出力を計算・伝達することが可能になり、安定して飛行できます。

フライトコントローラー

各センサーや発信機からの情報を処理して、ドローンを制御してくれるシステムが搭載されています。

ドローンの中でも重要なパーツの一つで、機体の安定化や自律航行などを自動的に制御してくれます。

プロペラが1つのヘリコプターでも操縦は難しいにもかかわらず、ドローンにはプロペラが4つ以上も搭載されているため、人間の力だけでは簡単に制御できません。

フライトコントローラーが各種センサーで自機の状態を把握し、適切にプロペラを制御することで機体を制御しています。

例えば操作していない状態でも勝手にホバリングし続けますが、これはフライトコントローラーによるものです。

ホバリング中は風の影響なども加味して個々のプロペラを操作しなくてはならないので、機体を水平に維持するよう指示を送り続ける必要があります。

高性能なフライトコントローラーほど一定の場所・高度にとどまる力が強く、操縦者を補佐してくれます。

GPSがない環境でもドローンが安定する理由

GPSがない環境でもドローンが安定する理由

ドローンはGPSによって自機の位置を確認して、決められた場所を飛行することを可能としています。

しかし屋内や山奥といったGPSが届かない環境でも、機体を水平に保ち安定して飛行できます。

これは「ビジョンポジショニングシステム」というもののおかげです。なぜGPSがなくても飛行できるのか解説します。

ビジョンポジショニングシステムとは?

ビジョンポジショニングシステムとは、機体下部に搭載された「ビジョンセンサー」と「超音波センサー」により、地面との距離を測定して水平に飛行するためのものです。

センサーで自機と地面との距離や高度を把握できることで、GPSがない環境でも安定した飛行を実現させられます。

ホバリングや障害物の探知も行えるので、GPSがある状態のような飛行が可能。多くのドローンに搭載されています。

GPSがなくても姿勢制御や位置確認ができることで、倉庫内での作業や山奥の橋梁の点検などが行えるので、幅広い環境でドローンを稼働させられます。

ビジョンセンサー

ドローンの機体下部に搭載された2つのカメラで、ドローンと地面との距離を導き出すセンサーです。

カメラで捉えた情報を整理し、対象の位置を把握して、ドローンの動作に修正を加えることができます。

人間が目の前の物体の位置と自分の位置を把握して、物体との距離感をつかめるように、ドローンはビジョンセンサーで地面と自機との距離を把握することが可能です。

また建物や樹木など、障害物にも反応するので、衝突防止装置としての役割もあります。

ただし人間の目と同じような仕組みなので、透明なガラスや細い網状のものなど、肉眼で視認しにくいものは距離を誤認したり、反応しなかったりすることもあります。

超音波センサー

超音波を使うことで、高度を測定して高度維持を行うためのセンサーです。

超音波で対象物との距離や障害物の有無を検出するもので、レーザーやLEDなどの光を使用しないため、周囲の明るさや対象物の材質、色の影響を受けないのが特長です。

GPSがなくても高度を維持できるので、GPSのない環境でも安定した飛行を実現してくます。

ビジョンポジショニングシステムの弱点

ビジョンポジショニングシステムは、GPSの届かない山奥などでも安定した姿勢での飛行を実現してくれますが、いくつか弱点があるため決して万能ではありません。

周囲の環境によっては、正常に作動しない場合もあります。

代表的な4つの弱点を紹介するので、正常に機能しなくなる可能性の高い条件を把握しておきましょう。

暗い場所での飛行

暗い場所ではカメラが周囲の状況を認識できなくなるため、作動しなくなる可能性が高くなっています。

例えば街灯などのない夜間の撮影や、照明の点いていない屋内の飛行など、光量の少ない暗い環境ではビジョンシステムがオフになってしまうので注意しましょう。

ドローンの種類によっては機体下部にLEDライトが搭載されており、完全な暗所にならないようになっているものもあります。

とはいえ周囲の環境によっては位置の把握が困難になる可能性もあるので、夜間飛行や暗所での飛行には注意が必要です。

単色や同一パターンの床の上での飛行

単色の床や同一パターンが繰り返されるような床の上では、作動しない可能性が高くなっています。

黒一色・赤一色など単色だけの床や、タイルのような同じパターンが連続するような床は、カメラが正確な地面の特徴をつかむのが困難な地形です。

例えば一面同じ色の床が続く屋内では、正確にホバリングできなくなるかもしれません。

飛行させる際は、地面が単色や同一パターンの連続になっていないか、確認する必要があります。

水の上での飛行

水面は常に変化し続けるので、特徴をセンサーが把握できず作動しない可能性が高くなっています。

水面は常に波打っており、流れもあります。センサーは真下との距離を把握するためのものなので、地面と違って変化し続ける水面を捉えるのが苦手です。

また超音波がうまく反射しないことで、位置の把握も難しくなってしまいます。

水面に近付け過ぎると突然急上昇したり、驚いて操縦を誤ったりするリスクがあるので、水上約2m程度の高度を保ちましょう。

機能限界高度以上の高さでの飛行

ビジョンポジショニング機能の限界高度より高く飛ぶと、作動しなくなるので注意が必要です。

ビジョンポジショニング機能の限界高度は10m程度なので、あまり高い場所での飛行はできません。

推奨されている高度は、30cm〜6m程度です。6mはマンションの2階程度の高さなので、それほど高くありません。

GPSのない環境でビジョンポジショニング機能を頼るのであれば、高度には十分注意しましょう。

ドローンの姿勢制御の過信には注意

ドローンが自動で機体を安定させてくれるとはいえ、姿勢制御機能を過信しないよう注意してください。

たとえ姿勢制御があっても、森林やビル街、人が多い場所などでは電波干渉で通信不能になってしまったり、突風に煽られてバランスを崩したりすることもあります。

姿勢制御や自律飛行システムはあくまで補助と捉え過信せずに、万が一の際でもしっかりとコントロールできるように、日頃から操作スキルの向上に努めることが大切です。

またドローンの制御には、プロペラ一つ1つが欠かせません。いずれかに不備があるだけでも安定飛行できないので、日々のメンテナンスも重要です。

スキルの向上やメンテナンスを怠らないことが、墜落防止につながります。

ドローンは各パーツの働きで姿勢を制御している

ドローンは上下左右や前後と、自由自在に飛行できるのが特徴ですが、各プロペラや複数のセンサーがあるからこそ、安定した飛行が可能になっています。

とはいえ姿勢制御が十分に機能していても、突風や電波干渉などでバランスを崩すことも考えられます。過信せずに補助程度として捉え、スキルを磨くことが大切です。

ACSLでは国産のセキュアなドローンを開発・販売しており、産業用ドローンとしてさまざまな分野で活躍しています。

ドローンの制御を担うフライトコントローラーは自社で開発しており、用途に応じた柔軟なカスタマイズが可能です。

あらゆる業務の効率化・低コスト化・リスク削減を、国産ドローンの導入で実現できます。興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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