産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせドローンを飛ばす上で重要なことの一つとして、電波法の知識や電波干渉への対策が挙げられます。
ドローンの通信には電波が用いられていますが、電波法について理解していないと、知らず知らずのうちに違法になってしまうかもしれません。
また電波干渉によって、ドローンが操縦不能に陥り事故や事件につながることも考えられます。
ドローンを操縦する上で、電波に関する知識は必須といえます。
電波法に関する基本的なことから、電波干渉への対策など、ドローンの電波にまつわる情報を紹介するので、ドローンに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
目次
大前提としてドローンの操作には、電波が必要です。
電波とは電磁波の中でも特定の周波数を持つ波のことで、この波に情報を載せて送受信することで、ドローンの操作や映像の送受信、GPS信号の受信などを行っています。
目に見えない電波のやり取りを行うことで、ドローンの一連の操作は行われており、離れた距離まで飛ぶと操縦できなくなるのは、電波が届かなくなるためです。
電波の届く距離は機種によってさまざまで、300~2,000m程度が一般的です。
ただし周囲に電波に干渉するものがあると、本来よりも短くなり遠くまで飛行できなくなります。
スマートフォンやテレビ放送、ラジオなど、身の回りのさまざまなものに電波は用いられており、電波の取り扱いにはさまざまな規定があります。
ドローンで使用する電波についても、電波法という法律で規定されています。どのように定められているのか、知っておきましょう。
電波法では使用目的によって、使える周波数(データの通り道)が定められており、ドローンに関しても、どの周波数が使用できるか決められています。
通信機器ごとに使用できる周波数が異なりますが、ドローンの場合は主に2.4GHz帯と5.7〜5.8GHz帯が使用可能です。
産業用ドローンは主に2.4GHz帯が使用される一方で、レース用ドローンなどでは5.7〜5.8GHz帯が使用されることもあります。
また他にもラジコン用の微弱無線局や、小電力データ通信システム(無線LAN)の一部などもドローンの電波に使用されています。
周波数によっては、使用に特定の免許が必要になる場合もあります。免許を持たずに使用した場合は、電波法違反になるため注意が必要です。
それぞれの周波数で、必要になる資格を紹介します。
ちなみに資格の要・不要を問わず、技適マークが付いていないドローンは電波法違反になるので注意しましょう。技適マークについては、後ほど解説します。
産業や医療分野など幅広く活用されている帯域で、Wi-Fi・Bluetoothといった身近なものにも使用されています。
ほとんどの民生用ドローンで使用されている周波数で、無線局免許や無線従事者資格は必要ありません。誰でも操縦可能です。※
ただし技適マークのないものは、日本の法律に準拠していない場合があるので要注意。並行輸入品や海外購入品には注意してください。
必ず技適マークのあるドローンを購入・操縦しましょう。
※出典:総務省電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」. (2023年2月17日).
基本的にドローンの電波には2.4GHz帯が使用されますが、レーシングドローンなど一部5.7〜5.8GHz帯も使用されます。
ホビー用・レジャー用として使用する場合は、アマチュア無線免許4級以上の資格が必要です。※
ちなみにアマチュア無線とは、個人的な趣味での無線通信を行うためのもの。アマチュア無線を使用したドローンは、仕事など金銭を得るための業務には利用できません。※
業務として5.7GHz帯を使用する場合は、第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要となります。※
※出典:総務省電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」. (2023年2月17日).
民生用ドローンは基本的に2.4GHz帯が使用されているので、電波法違反になることはありません。
2.4GHz帯はさまざまなメーカーのドローンで使用されており、ほとんどの民生用ドローンに使用されています。
無線LANや電子レンジをはじめとする家電、Bluetoothなど幅広い分野で使用されている周波数なので、資格や無線局の開局手続きなどは不要です。
総務省のホームページでも「免許又は登録を要しない無線局」の一つとして、2.4GHz帯が挙げられています。※
民生用ドローンを普通に使用していれば、基本的に違法にはなりません。
※出典:総務省電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」. (2023年2月17日).
ドローンは電波を用いて通信しているので、他の通信機器同様に電波法を遵守する必要があります。
電波法に違反すると罰則が課せられるので、あらかじめ違反になるケースを知っておき、正しく使用することが大切です。
ドローンの電波法に違反するケースとして、代表的な3つの例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
5.7~5.8GHz帯の周波数の使用には、免許や資格が必要になるので、無免許・無資格で使用すると電波法違反となります。
ホビー用・レジャー用として使用する場合は、アマチュア無線免許4級以上の資格が必要。併せて購入機器の無線局開局申請も必要となります。※
またアマチュア無線は二次業務に当たるため、一次業務である産業用ドローンやETCシステム・駐車場管理などの付近では使用を避けるなど配慮が必要です。
業務として5.7GHz帯を使用する場合は、第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要となります。同じく無線局開局申請を行って、無線局免許を取得しましょう。※
※出典:総務省電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」. (2023年2月17日).
技適マークが付いていないドローンは、電波法の基準を満たしていない可能性があるため要注意です。
技適マークとは、電波法で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するマークのこと。技適マークのないドローンは使用できません。
国産メーカーはもちろん海外製品でも日本の販売代理店を通して販売されているものであれば、日本国内基準を満たしている証として技適マークが付いています。
しかし並行輸入品や海外購入品などの場合は、技適マークが付いていない場合も。技適マークのないドローンを飛ばすと違法になるので、注意してください。
改造したドローンを届け出を出さずに飛行させてしまうと、違法行為になります。
ドローンを改造すると、登録した内容と機体の現状が異なる状態になってしまうので、たとえ許可・承認取得済みの機体であっても原則的に変更申請が必要となります。
基準適合確認書に追記する必要があり、確認事項をチェックして記入しなければなりません。
こうした届け出を怠った状態で飛行させると違法行為になるので、改造を施した場合は必ず国土交通省へ申請しましょう。
ドローンを5.7~5.8GHz帯を使用して無免許・無資格で飛行させると、不法無線局となり「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。※
ただしこれは個人が電波法に違反した場合の罰則で、法人が違反した場合は、最大で1億円の罰金刑となります。※
5.7~5.8GHz帯を使用する際は、必ず必要な資格の取得や無線局の開局手続きを行いましょう。
知らず知らずのうちに電波法違反になってしまわないように、正しく理解した上でドローンを飛ばすことが大切です。
※出典:e-gov「電波法」. (2023年2月17日).
ドローンを操作する際は、周辺の建物や障害物などで起こる「電波干渉」に注意しなければ、重大な事故・事件につながるかもしれません。
電波干渉とは、通信機器同士の無線電波がぶつかることで、互いに影響を及ぼす現象のこと。同一周波数で起こるため、使用機器の多い2.4Ghz帯で起こりやすくなっています。
電波干渉が発生すると、通信速度が低下したり、ネットワーク接続できなくなったりするため、ドローンの場合は墜落や紛失につながるリスクがあります。
もし住宅街上空で制御不能になれば、重大な事故につながる可能性が高いでしょう。
電波喪失や制御不能となった場合に備えて、飛行範囲制限機能や自動帰還設定などを設定しておくことが大切です。
ドローンが電波干渉を受けると墜落による事故・事件の発生リスクがあるので、事前に対策を施しておくことが大切です。
代表的な5つのポイントを紹介するので、あらかじめ押さえておきましょう。
電波干渉しやすい場所を把握し、リスクの高いエリアでは使用を避けるのが鉄則です。代表的な4つの場所を紹介するので、注意してください。
人が多い場所は2.4GHz帯の電波が飛び交っているため、電波干渉が起きやすくなっています。
2.4GHz帯の電波同士で干渉してしまうので、例えば商業施設のWi-Fiやスマートフォンの電波、Bluetoothなど同じ周波数の電波は避ける必要があります。
もちろん同じ周波数を使用していれば、ドローン同士でも電波干渉は起こるので、他のドローンが飛んでいる付近も危険です。
電波干渉を受けることで、手元の映像が途切れたり、操作不能に陥ったりするかもしれません。
重大な事故につながりやすいので、人が多い場所など電波の混線が考えられる場所での使用は避けましょう。
アンテナや基地局といった電波の発信源の近くは、混線しやすいため飛ばさないようにしましょう。
電波の発信源では強力な電波が飛んでいるため、感度抑圧という強力な電波の影響で正しい電波を受信できなくなる現象が発生する危険があります。
アンテナや基地局以外にも、高圧線や変電所も同様に危険です。ドローンが暴走する可能性もあるので、電波発信源の付近で飛行させないようにしましょう。
垂直の障害物が多い場所は、ドローンへの電波が何度も時間差で届いてしまい、通信品質が低下する可能性があります。
垂直な障害物が多い場所は、ドローンへの電波を障害物が跳ね返すことで、同一の送信機から送られた電波が複数回届くマルチパスという電波障害が起きやすくなっています。
例えば高層ビルや岸壁といった、垂直の建物や地形が多くある場所で起きやすい現象です。
周辺に垂直の障害物が多い場所では、飛行させないようにしましょう。
木が多い場所も要注意で、樹木により電波が遮られてしまう可能性があります。
森林や山、公園のような樹木が多く生える場所では、電波を遮られてしまうかもしれません。
周辺に樹木が多い環境では電波干渉が起こりやすくなるので、注意が必要です。
ドローンを飛行させる場合は、目視できる範囲で行いましょう、
ドローンは100m離れるだけでも肉眼では米粒サイズにしか見えないので、細かな調整や周辺状況を確認することが難しくなります。
慣れるまでは、半径50m以内を目安に飛行させましょう。
ちなみに目視外飛行には申請が必要。無許可では飛ばせないので、目視外飛行する際は手続きしてから行ってください。
電波が不安定になると兆候が見られるので、異変を見逃さないことが大切です。
電波が不安定な際に現れる兆候はさまざまあり、具体的にはモニターのコマ落ちやフリーズ、グリーンのノイズ、画面が真っ黒になるといった例が挙げられます。
こうした異変が見られたら、速やかにドローンを回収しましょう。無理に飛行させ続けると、電波干渉による事故につながるかもしれません。
自動帰還設定(リターントゥーホーム)を設定しておけば、もし電波を受信できなくなっても機体を離陸地点に帰還させられます。
送信機と機体の通信が途切れた場合やRTHボタンを長押しした際に、離陸地点へ帰還する仕組みがあるので、万が一に備え設定しておきましょう。
帰還する際はあらかじめ設定された高度まで上昇してから、ホームポイントまで戻ってくるので、上昇時に周囲の建築物や電線よりも高く上がるよう設定しておくことが大切です。
飛行範囲を制限して、制御しやすいようにしておくのも大切です。
ドローンにはジオフェンス設定という最大高度と最大水平距離を決めて、その範囲内でしか飛行を行わないようにする設定があります。
ドローンが飛行する範囲を制限することで、遠くに行き過ぎるのを防ぐことができます。
ジオフェンス設定を施しておくことで、ドローンの紛失を予防することが可能です。
ドローンの操縦や画像の送受信などには電波が使用されており、電波は身の回りのあらゆるものに使用されているため、干渉しないよう注意することが事故を防ぎます。
また電波法でさまざまな規定が設けられているので、正しく理解して法律を遵守できるよう努めるのも大切です。万が一電波法に違反すれば、罰金刑が科せられます。
ACSLでは国産のセキュアな産業用ドローンを開発・販売しており、インフラ点検や災害、測量、物流、警備などあらゆる場面で多数の実績を持つドローンを提供しています。
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