産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせドローンの飛行方法の一つとして「係留」というものがあります。
係留とは船舶を港につなぎ留めることを指しますが、ドローンの場合は強度の高い紐やワイヤーで固定地点につなぎ留めながら飛行させることを指します。
ワイヤーなどで固定地点につないで、一定範囲内しか飛べないようにすることで、万が一ドローンが操縦不能になっても落下や紛失を防ぐことが可能です。
ドローンの落下は大きな人的・物的被害をもたらしますが、係留することで事件・事故のリスクを低減させることができます。
ドローンの係留について必要性やメリット、具体的な方法などを解説します。
ドローンを導入したいが墜落・落下などのリスクから安全面が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ドローンの係留とは、ロープで船を港に留めておくように、固定地点とドローンを紐やワイヤーで留める飛行法方法です。
固定地点とドローンを結び付けることで、一定範囲内しか飛行できないよう物理的に制限します。
固定地点は地面だけでなく、ビルの屋上なども可能です。
応用的な方法としては、建物などに沿って主軸を設置して、主軸とドローンを固定することで係留しながらも広範囲を移動しやすくする方法もあります。
ちなみに車やバイク、人、他のドローンなどと固定するのは「えい航」に該当するため、係留には含まれません。
また固定地点と結び付けるものに細かな規定はなく、十分な強度があればかまわないため、ワイヤーや紐だけでなく、釣り糸のような細いものでも使用できます。
ただし長さには規定があり「最大30m以内」となっているので、紐の長さが30m以上を超える場合は許可申請が必要となります。
通常自由に飛び回れるドローンをワイヤーなど強靭な紐で、特定の地点に固定したまま飛行させるのが係留飛行です。
※出典:国土交通省「航空法施行規則の一部改正を実施しました!」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001425120.pdf(2023年1月18日)
ドローンの係留は、操縦不能による落下や紛失、一定範囲から出るのを防ぐために必要となっています。
ドローンが突然制御できなくなることや、強風で予定外の動きをするのは珍しくありません。
例えば何らかの故障で制御不能に陥ったり、建物などにぶつかったりして、落下・墜落する危険性があります。
ドローンが制御不能になれば、大きな人的・物的事故につながりかねず、最悪の場合生命に関わる重大な事件に発展しかねません。
こうしたリスクを抑えながらも、撮影や点検などの業務を実行できるのが係留飛行です。
紐で結ばれていることで、高層マンションや橋梁などの点検時に、下層への落下による被害を防げます。
また特定地点に固定して飛行範囲を制限することで、イベント時など飛行範囲に制限がある場合でも、うっかりはみ出す心配がありません。
他にも山中で落下したドローンなど、通常は発見・回収が困難なドローンも見つけやすいのもメリットです。
ドローンを係留することで、安全に飛行できます。
ドローンを係留する方法には、固定ヶ所の数や場所などに応じて種類があり、1点係留(地上型)・1点係留(屋上型)・2点係留・多点係留の4種類あります。
いずれも専用の係留装置が必要です。専用装置であれば、紐のテンションを自動で調節してくれるので、紐の巻き込みや引っ張りなどが起きにくくなっています。
1点係留(地上型)のように装置が市販されているものもありますが、基本的には専門の業者が行うものです。
具体的な係留方法として、例として1点係留(地上型)を用いる場合の手順を解説します。
まず係留装置のワイヤーをドローン本体に取り付けます。ドローン下部などへ結び付けるだけなので、簡単に行える作業です。
係留装置は機体重量の設定を行えるようになっているので、該当するものを選択。設定した重量に応じてワイヤーにかけるテンションを調節してくれます。
セッティングが完了すれば、いつも通りにドローンを飛行させるだけで、係留飛行ができます。
飛行許可申請の免除を利用する場合は、飛行範囲内の立入制限を行いましょう。具体的な制限方法は決まっておらず、飛行範囲に立ち入ってはいけないとわかれば問題ありません。
例えば三角コーンや看板などを四隅に配置して、立入制限中だとわかるようにしましょう。コーンや看板などでは不安な場合は、人を配置して確実に制限することが大切です。
ドローンの行動範囲を制限することで、安全な飛行を可能とする係留ですが、実際どのように役立つのかピンとこない方もいらっしゃるでしょう。
ドローンの係留が役立つシーンとして、大きく3つのケースが考えられます。それぞれ解説するので、係留がどのように活躍するのかイメージしてみてください。
係留の利用が想定される主なシーンとしては、ドローンの活用が活発になりつつある「点検」が挙げられます。
ビルや橋、ダムなどさまざまな構造物の点検を人力で行うのはコストがかかるだけでなく、作業員を危険にさらすリスクもありました。
ドローンであれば無人で行えるため、活躍が期待されています。
点検時は目視外飛行となる場合も多く、トラブルが発生しても対処しにくくなっていますが、係留していれば万が一操縦不能になっても落下によるリスクを軽減できます。
例えば都心部で増えている高層マンションの外壁などの点検に、ドローンを係留しての点検が有効です。
屋上からワイヤーをドローンに接続して、落下を防ぎながら点検を行うことで、もし操縦不能になっても地上へ被害を出す心配がありません。
ドローンの落下や墜落といったもしものリスクを軽減する係留のおかげで、安全に使用しやすくなっています。
夜間飛行や目視外飛行など、国土交通省の許可がいる飛行方法でも、係留を活用すれば一定条件を満たすことで申請が免除されます。
ドローンの飛行方法の中でも、以下のような特に周辺への被害が大きくなりやすいものや、操作が難しいシチュエーションでの飛行には国土交通省からの許可が必要です。
・夜間飛行
・目視外飛行
・人口密集地上空における飛行
・第三者から30m以内の飛行
・物件投下
国土交通省からの許可をもらうための申請手続きには手間がかかる上に、承認されるまで時間がかかるのがネックです。
しかしドローンを係留させての飛行であれば、一定条件を満たすことを条件に、申請しなくても飛行が可能となります。
係留による飛行許可申請免除には「固定地点から30m以内の飛行」と「第三者の立入制限」の両方が条件です。
係留での飛行は、面倒な許可申請の手間と時間を省きつつも、安全性を確保できる飛行方法だといえます。
※出典:国土交通省「航空法施行規則の一部改正を実施しました!」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001425120.pdf(2023年1月18日)
スポーツの大会や音楽フェスなど、イベント時に空撮を行う際も係留は効果的です。
イベント会場などでの空撮を行う際は、観客の上空を飛行することは禁止されています。
しかし風に煽られたり操縦ミスや誤作動が起こったりして、観客の上空を飛行してしまう可能性は否定できません。
係留してドローンの行動範囲をあらかじめ制限しておけば、指定された飛行範囲から出てしまうことを防ぎやすくなります。
イベント空撮などで一定範囲内から外に出てしまうといけない場合は、係留による行動範囲の制限が役に立ちます。
ドローンの係留は、国土交通省から2021年9月24日に航空法の一部改正が公布・施行されたことで、規制が緩和され活用しやすくなりました。
規制緩和の内容としては、今まで飛行許可の申請が必要だった下記方法で飛行時に、一定条件を満たしていれば許可が不要になるというものです。
・夜間飛行
・目視外飛行
・人口密集地上空における飛行
・第三者から30m以内の飛行
・物件投下
なお十分な強度を有する長さが30m以下の紐(ワイヤー・釣り糸など)でドローンを係留しており、飛行可能範囲に第三者が立ち入らないよう管理していることが条件です。
また煙突や鉄塔、送電線など高層構造物の周辺空域の飛行禁止についても、構造物から30m以内の空域なら、地表・水面から150m以上の空域であっても飛行可能となりました。
こうした改正は、多様な産業での今後のドローンの利活用拡大を期待して行われたもので、これまでの承認に関する知見が蓄積されたことで行われた判断です。
条件付きではあるものの、係留している状態であれば複雑かつ面倒な手続きが必要なく多様な飛行を行えるようになったため、ドローンのさらなる活躍が期待されます。
※出典:国土交通省「航空法施行規則の一部改正を実施しました!」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001425120.pdf(2023年1月18日)
ドローンは係留することで安全性を高められますが、間違った方法ではかえって危険性が高まるかもしれないので、正しい方法で行うよう注意しましょう。
まず大切なのが、現場に合わせた方法で対処することです。
例えば風が強い場所であれば、機体付近のワイヤーを固めて風で煽られないようにすることが大切です。
他にも係留中は常にドローンからワイヤーが垂れた状態になるので、移動時に第三者や障害物などに接触しないよう、アシスタントを配置して注意・誘導する必要があります。
次に係留は専用の装置を使用して、自作の紐や装置を使用しないことです。
ドローンの係留は紐やワイヤーがプロペラに絡まないよう、常にほど良いテンションをかけています。
しかし自作の装置では紐が余ってプロペラに巻き込まれたり、余った紐が弛んで想定外の動きをしたり、紐に遊びが無くなったりするかもしれません。
いずれもドローンの墜落につながる危険性が高いため、安全に飛行できるとはいえない状態です。必ず専門の装置を利用して係留しましょう。
安全性を高めるための係留ですが、一歩間違えれば危険を伴うので、正しい方法で行うことが大切です。
ドローンといえば撮影やおもちゃとしての役割を思い浮かべるかもしれませんが、ビルやダムなど建物の点検をはじめ、多くの産業での活躍が期待されています。
特定地点へ固定して落下や墜落による事故リスクを軽減できる係留は、産業分野でのドローンの活躍場を広げてくれるものとなっています。
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