産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせエンターテイメント業界や撮影業界をはじめ、一般に普及してきたドローンですが、物流分野での活躍も期待されています。
2022年12月にレベル4飛行が解禁されたことで、自律・自動ドローンによる配達の実用化に近付きました。
まだ日本では多くの実証実験が行われているところですが、海外では既にドローンによる配達サービスが実用化されている国もあります。
海外におけるドローン配達の事例と、日本の現状を紹介するので、ドローン配達に関心がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
ドローン配達とは、ドローンを使用しての宅配サービスです。
従来のトラックにより配送を行い、ドライバーが玄関先まで荷物を運んでくるスタイルではなく、ドローンが営業所から届け先まで配達する方法です。
人が操縦しての配達ではなく、ドローンに搭載されたGPSやセンサーなどを使用して、設定したルートを自動的に飛行するため、無人での配達ができます。
上空から最短距離で届けられるためトラックよりも素早く、人手不足も解消できる可能性があると物流業界では期待されています。
ドローン配達は、日本では実証実験が繰り返されている段階ですが、海外では既に実用化されている国もあります。
ここでは、海外におけるドローン配達の事例を5つ紹介します。
セブン-イレブンは2016年7月に、Flirtey社と共同でアメリカでの商業配達に成功しました。
荷物を収めるためのボックスと、上空から荷物を降ろすワイヤーが搭載されたドローンで行われ、店舗から住居まで自動で飛行して配達しました。
セブン-イレブンの店舗から、アプリを利用して商品を注文した顧客の元へ、定期配送を実施し、ドローンでの配達を77件完了しています。
これはアメリカで初となる、FAA(アメリカ連邦航空局)認可の下でのドローン宅配実験の成功例です。
ちなみに日本でも2021年に東京の日の出町で「セブン-イレブン日の出大久野店」から、日の出町内の4つの配送地点へ、注文商品をドローンで配送する実験が行われました。
ドミノピザはFlirtey社協力のもと、2016年にニュージーランドにおいて世界で初めて、ドローンによるピザの宅配サービスを実施しました。
軽量ドローンから地面に目掛けてワイヤーが垂らされ、配達先へピザが届けられる仕組みです。バッテリー不足やGPS信号がなくなった場合など、緊急時には自動的に戻ってくるよう安全面にも配慮されています。
また韓国では2021年に、セジョン(世宗)市で国内初のドローン配達サービスが行われ、チェジュド(済州道)でもドローン配達サービスが実施されました。
配達サービスはドミノピザ公式アプリで注文すると利用でき、通常のピザ配達のように気軽に注文できます。
セブン-イレブンやドミノ・ピザのドローン配達に協力してきたFlirteyは、Vault Health社と2021年2月に、COVID-19検査キットのドローンデリバリーを成功させました。
ドローンを使用して、検査キットを家庭に直接配送することで、従来の郵便よりも迅速に届けられます。
また配達員と対面することもないので、感染リスクを最小限にして、検査キットを入手できるようになりました。
検査を行っている施設が遠い場所に住んでいる人など、検査を受けたくても気軽に受けられない人でも検査できるため、利便性の向上にもつながります。
食品や小売の分野だけでなく、医療分野でもドローン配達は有効活用されています。
スウェーデンのドローンサービス会社Everdrone(エバードローン)は、2021年9月にドローンを使って、国境を越えたAEDの配達実験を行いました。
スウェーデンの隣国フィンランドへ無事に届ける実験を行い、問題なく指定地点へAEDを届けることに成功しました。
この実験はスウェーデン・フィンランド間の約1.6kmの距離で行われ、約5分のルートを飛行。越境してのドローンによるAED配達は、EU諸国でも例を見ない運用となっています。
複数の目的地を設定して、何度も配達実験が行われましたが、いずれも無事に成功しました。
人命救助サービスにフォーカスしているEverdroneでは、既にスウェーデン内の4都市で7機の救命用のドローンを展開しており、多くの人の命を救うのに役立っています。
Amazonはドローン配達サービスである「Amazon Prime Air」を、2022年内にアメリカで導入開始するとしています。
プライム会員向けの実証実験を以前から進めており、2022年内にアメリカの2つの地域でAmazon Prime Airの本番提供を開始すると発表しています。ドローンを使って約2.3kgまでの荷物を、配達拠点から購入者の家へ直接届ける仕組みです。
配達地域はカリフォルニア州ロックフォードと、テキサス州カレッジステーションが送り先のみの対応となる予定です。
「1時間以内に商品を届ける」ことを目標としており「大きさ」や「総重量」など荷物に制限があるものの、注文した商品がすぐに届く画期的なシステムが計画されています。
海外では多くの実証実験が繰り返されており、既に実用化段階に進んでいる国もあります。日本でも実証実験は繰り返されてきましたが、実用化に向け大きな変化がありました。
2022年12月に「航空法等の一部を改正する法律」が施行され、日本国内でのドローンのレベル4飛行が解禁されました。
レベル4飛行とは、有人地帯において目視の範囲外でドローンを自動・自律飛行させる方法のことです。
航空法改正以前は禁止されており、目視範囲外での自動・自律飛行は無人地帯でのみ(レベル3飛行)となっていました。レベル4飛行が解禁されたことで、一部地域を除いて住宅地や都市部など、人が行き交うエリアでも、目視外のドローンを自動・自律飛行させることが可能になります。
国土交通省は離島や山間部など、人口が少ない地域から検証を行い、より人口の多い地域や多くの機体の同時飛行など、段階的に拡大していくロードマップを発表しているのです。
例えば日本郵便は、2023年からドローンでの郵便配達を本格的に導入すると発表しており、レベル4解禁に伴い徐々にドローン配達が全国へ拡大していくでしょう。
頭上を配達用ドローンが行き交う光景が近付いてきましたが、いまいちメリットを感じられない方もいらっしゃるかもしれません。
ドローンでの配達が実現すると、大きく5つのメリットがあると期待されています。それぞれ解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
ドローンが空を行き交うようになれば、交通渋滞が緩和すると目されています。
ドローン配達が一般化すれば、従来の配送トラックによる配達は、現在と比べると減少すると考えられています。トラックが減少すれば、都市部や高速道路などで起こる渋滞が、発生しにくくなるでしょう。
また配達時にトラックを路上駐車することも減少するので、通行しやすくなると考えられます。上空を移動するドローン配達なら、交通状況に悪影響を与えずに配送可能です。
物流業界が抱える人手不足の問題も、ドローンなら解決可能です。
人手が足りないことで既存ドライバーの業務負担が大きくなっていることや「2024年問題」と呼ばれる時間外労働の制限でドライバーの収入が減少するなどの問題があります。
労働環境の悪化や収入面の減少から、人手不足の改善は難しく、物流業界は採用できる人材が少なくなっているのですが、この現状を打破すると期待されるのがドローン。
ドローンなら無人で配達してくれるので、人手が足りなくても配達を行うことが可能です。
ドローン配達は、トラックの維持費やドライバーの人件費などが不要になるため、コスト削減にもつながります。
ドローン配達が一般化すれば、トラックで運ぶ荷物が減少するため、トラックにかかる維持費や燃料費などが不要になります。
また飛行機やヘリコプターなど空輸する場合と比べても、ドローンの方がコスト削減が可能な場合もあります。
いずれの場合もドライバーやパイロットなどが必要ですが、ドローンは無人のため人件費の削減にもつながります。
既存の運搬方法に比べると、ドローンの方が低コストで配達できる可能性があります。
上空を飛ぶドローンは、配達効率の向上にも貢献してくれます。
トラックは道や建物など地形の影響を受けますが、ドローンは上空を飛ぶため、配達先まで一直線に最短距離を移動することが可能です。
渋滞に巻き込まれることもないので、素早く効率的に荷物を運べます。
また山間部や離島といった、車の侵入が難しかったり時間がかかったりするような過疎地域にも、簡単に配送できます。
今までにないルートで配送できるため、効率的な配達を短時間に実行可能です。
上空から配達できることで、災害時の物資運搬にも役立つと期待されます。
大規模な災害が発生すると、被災地への物資運搬は陸路では難しくなります。例えば倒木で道が塞がれたり、トンネルの崩落で進行できなかったりするかもしれません。
特に山間部の集落などでは、陸の孤島と化してしまうケースがあります。他にも火災などで、人が容易に通行できない状況も考えられるでしょう。
ドローンであれば上空からトラックや船では行けない場所や、ヘリコプターの着陸場所がないような場所でも、安全に物資を運搬することが可能です。
ドローン配達は国内外で、実用化に向け着々と進行しています。海外でさまざまな取り組みが行われており、ドローンによる配達は身近な存在となりつつあります。
日本においてもレベル4飛行が解禁されたことで、多くの企業で導入が始まっていくでしょう。
業務の効率化や低コスト化のため、ドローン導入を検討されている場合は、ぜひ株式会社ACSLの産業用ドローンをご活用ください。