産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせ測量とは特定の土地の広さや高さ、起伏などを測る重要な仕事です。土木工事や建築、都市計画から地図作りまで測量は欠かせません。しかし測量はとても手間のかかる仕事でもあります。
測量機器を使って、2人1組で行う従来の測量では100坪程度の土地でも丸1日かそれ以上かかる可能性もあるでしょう。
現在、ドローンを測量に使うことで、時間や手間を大幅に短縮しようとする試みが行われています。この記事ではドローンを使用した測量の手順やメリット、解決すべき課題まで詳しく解説します。
目次
レーザー測量とはドローンにレーザー発振機を搭載してレーザー光線を地表へ照射し、その反射したレーザー光線を元に地表との距離を測定する方法です。レーザー光線を照射することにより、土地の情報をより詳しく取得できます。このため精度が高く精密な測定が可能です。起伏の多い土地を正確に測定したいときに適しています。
デメリットは機材が高価なことです。ドローンに搭載できるレーザー測距装置は、100万円以上するものもめずらしくありません。
写真測量とは光学カメラで撮影した航空写真と地上に設置したGCPによるドローンの位置情報を利用して、測量を行う方法です。現在のドローンはカメラが標準装備なので、他に用意する道具はありません。手軽に測量をしたいという場合に向いています。
その一方で正確さにはやや欠けます。特に樹木が多いところは地面の起伏が分かりにくいため、正確な測量は難しいでしょう。他の測量方法と組み合わせるなど工夫が必要です。
グリーンレーザー測量はレーザー測量の一種で、河川や港湾などの場所でも測量を行うことができます。グリーンレーザーは特殊なレーザーで、水の影響を受けません。水底の地形などもドローンで測定することができます。河川や湾岸の測量を人力で行うのは大変なので、ドローンを使えばとても便利です。
デメリットはやはり機械の価格がかなり高価なことです。
また現在の技術では小型化にも限度があるため、ドローンも大型のものを用いる必要があります。
ドローン測量をする際に必要なものは以下のようなものがあります。
・ドローン
・カメラ
・GPS
・高度計
・レーザー測距装置
測量の方法によって、ドローンに搭載するものが異なります。レーザー測量をするならばレーザー測距装置、写真測量ならばカメラ・GPS・高度計が必要です。
また搭載するものによって、ドローンの大きさも変わります。
この他、測量や飛行ルート設定に必要なアプリケーションやソフトウエアも必要です。
さらにドローンの飛行許可を得る際に保険加入もしなければなりません。
なお2022年5月現在、ドローンを操縦するのに資格は必要ありませんが、今後法律が変われば必要になる可能性もあります。ドローンを使った測量を行う場合は、ドローンに関する法律もこまめにチェックしておきましょう。
では実際にドローンを使って測量を行う場合、どのような手順で行っていくのでしょうか?
ここでは順を追って解説していきます。
まずは現地調査を行い、ドローンによる測量ができるかどうかを確認します。前述したように、ドローンが行える測量は写真測量かレーザー測量です。どちらがより適しているのか確認をしてください。
飛行ルートとはドローンを飛ばす道筋です。測量したい場所をどのくらいの高度で、どのようなルートをたどって行くか地図を見て決めます。
測定の方法やドローンの性能によって飛行ルートは変わります。このルートを正確に定めないとせっかく写真を撮ったりレーザーで測量をしたりしても正確な測量ができません。
初めて測量をする場合は、経験者に飛行ルートの作成を手伝ってもらうなどして正確なルート作成を心がけましょう。
GCP(対空標識)とは「グラウンドコントロールポイント」の略称で「座標がわかっている地上点」のことです。
トータルステーションなどの測量機を用いてGCPを測定し、チェッカーを置きます。このチェッカーを基準にドローンで撮影した写真から実際の場所を確認したり、3Dソフトへの自動認識などを行ったりします。
なお対空標識には寸法の規定があり、円形または辺長、なおかつ直径が15ピクセル以上なければなりません。
ここまで準備ができたら、いよいよドローンを飛行させます。ドローンの飛行は基本的に作成した飛行ルートに沿って自動操縦を行いますが、木が生い茂っているなど、地形の測量が難しいところがある場合は一部主導で操縦する必要があります。
そのため「自動操縦にしたから」と安心せず、モニターは随時チェックしていきましょう。
なおドローンで写真を撮る際、「ラップ率」というものが定められています。このラップ率というのは前後左右の写真が重なる基準のことで、縦方向80%以上、横方向60%以上と定められています。ラップ率を計算してくれる撮影アプリなどもあるので、利用してみてください。
写真撮影が終ったら専用のソフトで解析を行い、3Dデータなどを作成します。3Dデータとは点群データ、オルソ画像のことです。3Dデータを作成したら、撮影時の座標値と比較検証することも必要です。
解析が終ったら3Dデータから起した図面など、依頼者が求める成果物を作成して納品します。
ドローン飛行実績や現場の作業風景の写真などを求められることもあるので、記録に取っておくとよいでしょう。
のような手順でドローンを用いて測量を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここで、そのメリットの一例を紹介します。
人の手によって作成した測量結果で3Dモデルを作るのは大変です。数値をソフトにいちいち手作業で入力しなければなりません。ドローンでは上空から写真や動画をデジタル撮影したり、レーザーを照射したりすることで測量データを取得することが可能です。
このデータを元に3Dモデルを作ることは比較的容易です。従来のやり方で測量を行った場合3Dモデルを外注して作っていたところも、ドローンを用いた測量を行えば、自社でモデリングが可能になるケースがあります。
人力で測量を行った場合、測量できる範囲がどうしても限られてしまいます。
一方でドローンによる測定は、空から撮影をしたりレーザーを照射したりするので範囲が制約されません。グリーンレーザーを用いれば、水底の地形も測定できます。人力で測定するのが難しい場所こそ、ドローンでの測量に適しているでしょう。
ドローンによる測量を行えば、人力で行ったときの作業時間の削減に加えて、費用の削減にも効果的です。特に広い土地や高低差がある土地などは測量の難易度も高い分、時間や費用も比例して高くなります。そのためドローンの方が費用対効果が高くなるケースがあるでしょう。
また、人力による測量は基本2人1組で行うため、測量を効率的に行おうとするほど人員が必要になり、人件費がかさみます。ドローンならば1台でいいので、コスト削減に効果的です。
ドローンを用いた測量にはデメリットもあります。ここでは、その内容を説明していきます。
ドローンを用いた測量でコストや時間を削減できるのは、広大で高低差のある土地や、湾岸や河川など人の手ではなかなか測量ができない場所です。
狭い土地や、広いけれどグラウンドのようにでこぼこがない土地の場合は、人力で測量を行った方が短時間で効率的に測量が行えることもあります。
測量する土地の状態を確認した上で、ドローンを用いるか否かの判断しましょう。
ドローンは、飛行するため可能な限り機体を軽量化しています。そのためバッテリーの持ち時間も短めです。
測量時間が長くなるとバッテリーの交換が必要になります。時間のロスにもなりますし、手間もかかるでしょう。したがってドローンで測量する際は、バッテリーの持ち時間と測量時間を計算して一つのバッテリーだけで作業が完了するか確かめてから、作業に取りかかることが重要です。
最後にドローンを使った測量の仕組みを簡単に紹介します。ここではオルソ画像と3次元点群データについて確認しましょう。
オルソ画像とは、ドローンが撮影した写真と地図データなどと重ね合わせることで取得できる地理空間情報のことです。
写真を複数枚組み合わせることにより、傾きや歪みを修正して正確な位置、サイズを算出していきます。距離の計測も可能で、地図データと合わせて利用する地理空間情報です。測量は、位置情報を持つ点の群れを加工する専用ソフトを用いて行います。
3次元点群データとは、ドローンで空中から取得したXYZ軸の情報のことです。ドローンが取得した高度情報と位置情報を、カメラやレーザー測距装置で捉えたデータと組み合わせることで作成します。このデータは、いわば位置情報を持つ「点の群れ」です。
このデータを専用ソフトで加工すれば、距離の計測や盛土の体積算出などが簡単にできます。
また3次元点群データは、3Dモデル作成・図面作成・出来形管理などを作る材料にもなります。先に解説したオルソ画像と合わせて、ドローン測量の根幹といっていいでしょう。
今回はドローンを用いた測量方法について解説しました。今まで時間をかけて人力で行ってきたことが、ドローンを用いればコストや時間をかけずに行うことができます。測量以外にも撮影や荷物の運搬、点検などもドローンを用いて行うところが増えてきている状況です。
もし自社の仕事もドローンを用いて行いたいと考えている場合は、ぜひ株式会社ACSLへご相談ください。当社はインフラ点検、災害等、調査などさまざまな分野で採用されている産業用ドローンの開発を行っています。