産業用ドローンの導入・開発のご相談
資料請求・お問い合わせドローンは、遠隔操作が可能な無人航空機のことです。2010年から急速に実用化が進み、ホビーはもちろんのこと空撮・運輸・点検などさまざまな産業に利用されています。屋根点検もドローンの利用が進んでいるところです。こうした中、「屋根点検とは何をするのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。
今回は、ドローンを用いた屋根点検のやり方やメリット、ドローンを用いた屋根点検を行う際の注意点を解説します。ドローンを用いた屋根点検に興味がある人は、この記事を読んでみてください。
目次
屋根点検とは専門的な知識を持つ業者が屋根の上に登り、屋根の状態をチェックすることです。屋根は家を守ってくれる大切な場所ですが、風雨にさらされているのでどうしても劣化します。
そこで定期的に点検を行い、劣化した場所があったら修理したり、屋根塗装を塗りかえたりする計画を立てます。従来の屋根点検は業者が屋根に登って行うもので、屋根の状態によっては足場を組んで行うこともあります。手間も費用もかかる点検です。
しかしカメラを搭載したドローンを使って地上から遠隔操作をすれば、屋根に上がらなくても状態を確認することができます。現在のカメラは高性能なため、細かなひび割れも確認することができるでしょう。
また赤外線カメラを用いれば、屋根の蓄熱状態まで確認が可能です。蓄熱状態が確認できれば、断熱工事をするかどうかの目安にもなります。
屋根の点検は危険が伴います。一般的な家屋でも2階建て、3階建ての高さから転落すれば命を落とすこともあるでしょう。また、屋根の上で転倒した場合もケガや屋根の破損を招く恐れがあります。特に台風など災害で、屋根が破損した場合の検査は、危険度が高まるでしょう。
しかしドローンで点検を行えば、転落や転倒といった事故を防げます。それに加えて、施主も業者と共に屋根の状態を確認することが可能です。
従来の屋根の点検は、施主が直接確認できにくいので悪徳業者がいいかげんな検査を行って不要な工事をした例もありました。ドローンを用いた点検を行えば、業者としてもごまかしようがありません。公正な検査ができます。
ドローンを用いれば、安全に屋根の点検ができることがお分かりいただけたでしょう。屋根の点検にドローンを使うメリットは安全性だけではありません。ここでは、屋根の点検にドローンを使うメリットの代表例を解説します。
カメラが搭載されたドローンを屋根のそばまで飛ばしてズームで撮影すれば、細かなひび割れなども発見できるとされています。職人が屋根に登ってチェックする際に確認しにくい箇所も、ドローンなら安全かつ細かに点検できるのが特徴です。
ドローンに搭載するカメラも年々進歩しています。赤外線カメラを搭載したドローンなら、屋根の温度が分るので目視では把握できない破損箇所などが判明する可能性があります。
ドローンによる屋根の点検は人の作業の代わりだけでなく、ドローンだからできる作業もあるということです。
従来の方法で屋根点検をする場合、準備の段階から含めると半日から1日がかりの仕事でした。足場を組んだり職人の安全確保をしたりすれば、それだけ余計な時間がかかるということです。
一方、ドローンは空中から点検を実施できるため、広範囲にわたる屋根のチェックが可能です。従来の点検方法のように足場を組む必要がなく、点検の時間を半分以下に減らせるでしょう。その分、効率的に検査ができます。施主側の負担も大幅に減らせる可能性が高いです。
屋根は、人が安全に乗れるようには設計されていません。したがって点検とはいえ、屋根の上を人が歩けば屋根材が少なからず傷んでしまいます。特に瓦屋根は体重のかけ方によっては、性質上、割れてしまうことがあるため注意が必要です。
屋根を点検する職人は熟練の技術を持っているかもしれませんが、人間の作業なのでミスが発生するリスクはゼロではありません。また屋根の状態によっては、少し重みがかかっただけで壊れる可能性もあるでしょう。
しかしドローンにカメラを搭載して屋根を点検すれば、こうした懸念は一切不要です。点検をする業者も点検を依頼する家主も、安心して点検作業を進められるのは大きなメリットといえるでしょう。
建物によっては屋根が中二階などの中途半端な高さにあったり、勾配が急だったりと人が登って点検するのには難しい場所があります。また都市部では隣家との距離が近いので、足場が組めないこともあるでしょう。そんな場所でもドローンならば問題ありません。
入り組んだ屋根も人が行きにくい場所でも問題なく検査ができます。特に都市部では足場が組めないことも多いので、ドローンで調査ができればより細かい場所まで調べることができるでしょう。
屋根の検査は、どうしても危険が伴います。命綱をつけても万全ではありません。屋根修理や塗装を行っている業者では、毎年のように労働災害が発生しています。ドローンを使えば、操縦者は安全な地上で作業ができるので、労働災害が発生する可能性がより低くなるでしょう。
また労働災害が発生すれば顧客にも迷惑がかかります。労働災害が減るのは会社の売上にも貢献することでしょう。
足場を組んだり、人の安全を確保したりしながら屋根の点検を行えば、どうしても費用がかかります。調査する場所によっては、通常の足場を組めない可能性もあるでしょう。この場合、特殊な足場を用意しなければ屋根の点検を進められない恐れがあります。こうなると業者としても、点検を依頼する家主としても調査費用が膨らんでしまいます。
しかし、ドローンを使えば足場を準備する必要性がありません。また屋根に登る人もいないため周囲の人に気をつけながら、ドローンを飛ばして屋根を調査するため、従来の点検方法と比較すると安全の確保がしやすくなるでしょう。したがってドローンを導入することで、調査費用の削減につながります。
ドローンを使えばモニターを通して、屋根を点検する業者と依頼主が一緒に状態を確認できます。依頼主としては直接自宅の屋根の状態を確認できて安心できますし、業者に対する信頼感を持てるでしょう。
業者としては依頼主が現物を確認してくれることで、修理が必要な場合でも説明しやすく、素早く理解してもらえる可能性が高いメリットがあります。また的確な調査をしていることを依頼主に理解してもらえれば、業者の評判アップにもつながります。
ドローンを使った検査は、今のところはまだ一般的ではありません。そのためドローンの導入自体が他社との差別化を図る際のポイントとなるでしょう。またドローンを使うことで、削減できた経費を値段に転嫁すれば価格競争に勝てるかもしれません。
このほかドローンに搭載した小型カメラの精密な画像や、短期間で正確な調査実績も強力なPRポイントになります。結果的に、ドローンによる屋根の点検で業者全体の売上アップにつながる可能性があります。
ここまでドローンを用いた屋根調査のメリットを解説しましたが、もちろんデメリットも存在します。そこで以下に、ドローンを使った屋根調査の代表的なデメリットを解説します。
メリットだけでなくデメリットも知っていれば、屋根の点検方法を選ぶ際の参考になるはずです。順番に確認していきましょう。
ドローンが飛行する際に発生する音は、約80dbです。(※)これは、電車の中と同様で「極めてうるさい」と感じる音量です。ドローンが大きくなるほど音は大きくなります。そのため、場合によっては近隣から苦情が出てくる可能性もあるでしょう。
ドローンは無音で飛行することはできないので、苦情が原因で検査ができなくなることもあります。騒音問題が発生するかどうかは、実際に検査してみなければ分りません。
またドローンによる検査はまだ一般的ではないので、跳んでいる姿を見るだけで警戒心を抱く人もいるでしょう。
※出典:国立研究開発法人 科学技術振興機構「低騒音型プロペラの開発」
ドローンは無風で天気の良い状態がベストコンディションです。雨はもちろんのこと、強風でも飛行が難しくなります。一般的には風速が8m/sを超えると、ドローンを飛ばすのが難しいといわれています。風速8m/sというと梢がゆれて水面に波頭がたつレベルです。まっすぐ歩くのが難しくなる一歩手前といった感じでしょう。
場所によっては、台風などが発生しなくても強風が吹きやすいこともあります。そのようなところでは、ドローンによる調査は難しいかもしれません。なお、現在は全天候型ドローンも開発されており、雨でも調査が可能な機種もあります。
しかしそのようなドローンは種類も少ないので、基本的に雨の日は検査ができないと思っておくことをおすすめします。
検査は目視以外に触診も行います。一見すると問題ない場所でも、触ってみると以上が分ることもあるでしょう。しかし、ドローンによる検査ではまだ触診は行えません。そのため目に見えず温度にも表れない不備を見つけるのは難しい点は、ドローンを用いた屋根の点検のデメリットといえます。その結果、いざ修理をするときに新しい不備を見つけてしまうこともあります。
目視では発見できない不備の例は、瓦と瓦の間のずれや棟木や垂木のガタツキです。家が建って20~30年が経過した場合や、台風などで大きな被害を受けた後にガタツキは起こりやすくなっています。
屋根の点検を行う際、細かな修理を行うことがよくあります。特に応急処置が必要な場合は、点検しながら修理しないと屋根の状態がさらに悪くなることもあるでしょう。
しかしドローンを用いた点検で行えるのは、あくまでも点検のみです。応急処置が必要な場合は、あらかじめ職人を待機させておいてドローンで点検した上で処置をしなければなりません。場合によっては、ドローンを点検に使用することで余計に手間がかかることもあります。
ドローンは、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などが適用されます。どこでも好き勝手に飛ばしていいわけではありません。
一例を挙げると最高裁判所などの国の重要施設、空港、防衛関係施設、原子力発電所の周囲300mでは、ドローンを飛ばすことが禁じられています。また、屋根の点検に使うドローンを飛ばす前には必ず都道府県公安委員会(警察)・管区海上保安本部長等への通報が必要です。届けた結果、飛行が許可されないこともあるでしょう。
ドローンで屋根点検を行うには、ただ飛ばせばいいわけではありません。適切な距離を保ちながら屋根の上を飛ばす必要があります。そのためドローンを購入しさえすれば、ドローンを利用した屋根点検ができるとは限りません。
ドローンを利用した屋根点検をすぐに行いたい場合は、ドローンを購入するだけでなく熟練した操縦技術を持つ人も一緒に雇い入れる必要があります。またドローンに搭載した機材を活用するソフトも必要なので、初期導入費が思いのほかかかることもあるでしょう。
2022年6月20日より、すべてのドローンに機体の登録が義務づけられます。したがってドローンを購入して屋根点検に利用したいと考えている場合は、購入する際に機体の登録をしておくのがおすすめです。
また、2022年12月5日より、自動車のようにドローンの操縦が国家資格になる「無人航空機操縦者技能証明書制度」がスタートしました。免許をもっていないと操縦ができないというわけではなく、「特定飛行」と呼ばれる特定の空域や方法での飛行を行う際に免許取得が必要あるいは推奨されるというものです。
対象となる「特定飛行」は、以下9種類の飛行(またはその組み合わせ)となります。
■ 上空150m以上の飛行
■ 危険物輸送を伴う飛行
■ 空港周辺の飛行
■ 物件投下(液体を含む)を伴う飛行
■ イベント上空の飛行
■ 人や物との距離が30m以内となる飛行
■ 夜間飛行
■ 目視外飛行
■ 人口集中地区上空の飛行
詳細は、国土交通省WEBページをご参照ください。
参考:無人航空機の飛行許可・承認手続https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html#flow
なお、無人航空機操縦者技能証明書の取得は、全てのドローン飛行において必須事項ではありません。今回の制度が対象としているのは前述のとおり「特定飛行」に限られているため、それ以外の飛行は対象外となるためです。
屋根の点検に利用するドローンはカメラの精度はもちろんのこと、安定して飛行できることが重要視されます。ドローンにはいろいろなサイズがありますが、安定性を重要視するならばある程度の大きさが必要です。障害物センサーが搭載されたドローンなら、より安全に使用できるので検討してみてください。
これらすべての要望をクリアできるドローンを個人で揃えるのは大変です。現在は、産業用ドローンの機体と操作ノウハウをセットで提供する業者も増えています。できるだけ早くドローンを導入したい場合は、ドローンの機体や使用ソフト、使い方などをセットで販売している業者に相談するのがおすすめです。
今回は屋根点検でドローンを利用するメリット・デメリットを解説しました。ドローンを導入すれば安全かつ素早く屋根点検を行うことができますが、触診など一部の検査ができなくなります。メリット・デメリットをしっかりと把握して受けるかどうかを判断することが大切です。
またドローンによる屋根点検を行う場合、ドローンを導入しておしまいではなく、定期的なバージョンアップも必要になります。スムーズにドローンを導入して活躍するには、信用できる業者に相談するのがおすすめです。
株式会社ACSLでは、国産の産業用ドローンを開発しています。屋根の点検はもちろん、インフラ点検や災害、調査などさまざまな分野で採用されているのが特徴です。また国際規格「ISO9001」、JUAV認定を取得しているドローン専業メーカーです。
ドローンを導入したいと考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。