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下水道点検の課題と代替案としてのドローン

インフラ点検
更新日:2022.12.14

かつて整備されたインフラの老朽化が進んでいる日本。近い将来、耐用年数を経過してしまった下水道が急速に増加すると言われています。そのため、腐食やヒビなどの不具合をいち早く見つけ出す下水道の点検が重要になってくるのですが、下水道事業や点検にはさまざまな課題があります。

この記事では下水道の点検方法や現状の課題を解説いたします。課題解決の一つの提案としてドローンを活用する方法も合わせてご紹介します。お役立ていただければ幸いです。

下水道の老朽化

日本の地下に埋まっている下水道管は、約46万km、地球11周分以上の長さがあります。一般にコンクリート製の下水道管の耐用年数はおよそ30年。30年を過ぎると、腐食やクラック(ひび)などがおこり、道路陥没など事故の要因となっています。

下水道の老朽化で特に問題になっているのが、設置してから50年以上の下水道管です。2018年度末には50年を超えた下水道管は総延長の4%、約1.9万kmですが、将来的にはさらに伸びる見込みです。2028年には6.9万km(14%)、2038年には16万km(33%)にものぼると試算されています。

下水道の維持や陥没事故などを防ぎ、人々の安全を守るために定期的な保守・点検が急務であるため、効率よく点検するためにドローンやICTの活用が注目されています。

下水道の調査・点検

調査員が目視確認する検査とテレビカメラを差し入れて行う検査があります。それぞれについて解説します。

管内潜行目視調査

下水道管の調査は、まずスクリーニング調査をして大きな損傷か所を発見し、そのうえで該当箇所を詳細調査するという段階を踏んで行われます。

この管内潜行目視調査は、調査員が下水道管の中に入って目視で異常がないか確認する調査で、詳細調査にあたります。調査員が実際に目で見て確認するため、ひび割れ、壁面のようす、土砂の堆積などさまざまな状況について正確かつきめ細かい検査が可能です。

ただし、調査員が入って確認できるほど下水道の大きさがないと検査できません。また大規模な下水道でも、急な増水や酸欠、有毒ガスなどの危険がありますし、転落や落下などにも注意を払わなければなりません。マンパワーに頼るためコストも大きくかかります。

本管テレビカメラ調査

現在、スクリーニング調査の主流となっているのが、本管テレビカメラ調査です。その名のとおりテレビカメラの機器を使って内部を撮影していきます。調査員が下水道管の中に入らなくてもいいというのが大きなメリットです。

この調査には、小口径管テレビカメラ調査、大口径管テレビカメラ調査があります。直径80センチ未満の下水道管で行われる小口径管テレビカメラ調査は、管内の清掃を行い、上流から撮影を開始。汚水量が多い場合は止水して実施します。

あるドローンメーカーと企業が協働し、複数台のドローンを用いて農薬散布を行った事例を紹介しま管径80センチ以上の下水道管では人が入って調査を進める流れです。しかし下水路のスパン延長が長かったり、水が多かったり、ガス発生の危険性があるときなどには大口径管カメラ調査が行われます。

カメラの撮影方式には次の3種類があり、必要に応じて使い分けられています

・直視式:挿入方向の画像のみ
・直視側視式:管壁の詳細映像も撮影
・展開図化方式:スパン全体の映像をパノラマ写真のように展開

カメラの挿入方式は、けん引式、自走式、押し込み式があり、一般にはラジコンカーのように走る自走式が採用されています。しかし、自走式カメラでは1日300m程度しか進まず、必要な人数も多いので省力化、少人数化が課題です。

下水道管が破損していたり、継ぎ手の部分の段差がある場合は牽引式を使用します。

下水道点検の課題

下水道の点検には職員の減少、施設の老朽化、人口減少による収入源などの課題があります。それぞれについてみていきましょう。

職員の減少

下水道は行政が管理していますが、どの自治体でも下水道職員数の不足・減少が問題となっています。公務員の中でも下水道職員は平均して2~3%程度ですが、中小の市町村ではそもそも職員の絶対数が少なく、政令指定都市、中核市など規模の大きな自治体では職員の減少が大きいという状況があります。

また維持管理職員は51歳以上の職員が5割程度を占めるなど、年齢層が多く、35歳以下の年齢層が少なくなっています。年齢構成が偏っているため将来的に技術力の継承がうまくなされず、このままでは職員不足に陥ってしまう可能性も懸念されている段階です。

そのため民間企業の参入をうながしたり、上下水道一体型など他のインフラと連携して見直すなどの試みが成されています。

施設の老朽化

下水道管の老朽化は年々進んでいます。コンクリート製の下水道管の寿命を超えた、50年もの間使われてきた下水道管が、今後ますます増えていくことがわかっています。すでに老朽化を起因とした陥没は多く発生しています。数センチ程度の小さいものを含めると、下水道の道路陥没は全国でなんと年間3000件(平成29年度)にものぼります。

2015年11月には改正下水道法が全面施行され、特に硫化水素による腐食のおそれの大きい箇所について、5年に1回以上の頻度で点検することが自治体に義務付けられている状況です。現在は、何かあってから対応する事後対応型から、事故が起こる前に発見して対応する予防保全型の維持管理への転換がすすめられ、ますます検査の重要性が認識されています。

人口減少による収入減

高齢化社会がますます進み、今後、さまざまな公共施設が人口減少の影響を受けるだろうと予想されています。現在、下水道料金の算定方法は自治体によって違いますが、特に従量使用料に依存している下水道では、人口減少によって使用料収入が減ってしまうのではないかという恐れがあります。

限られた予算や人材で老朽化が進む下水道を何とか維持するために、基本料金や従量使用料などを見直し、下水道料金の適正化(=値上げ)をしていく自治体が少なくありません。

代替案としてのドローン

前述したように、直径80センチ以上の下水道管は、現在は人間が入って点検を行っていますが、水流や水位、有毒ガスなどさまざまな状況で入れない場所が多数あります。

また人間が入ることはできても、高さが数メートルに及ぶため足場を組んで作業しなければならないなど、危険と隣り合わせの場所も少なくありません。

こうした調査困難区域を調査するための手段として、狭い空間でも飛行できるドローンが注目されています。調査を担当する職員は安全なところにいながら、下水管の中にドローンを飛ばし、カメラで撮影することで、下水道管の中の映像をリアルタイムでモニターに表示できます。

まとめ

さまざまな課題がある下水管内の点検、人間が入ったり、自走式カメラの代替案としてドローンをご紹介しました。

国内でもさまざまなメーカーがドローンの製造・販売をしています。

株式会社ACSLは国産の産業用ドローンを開発しており、物流、インフラ点検、災害等、様々な分野で採用されています。下水道管などの閉鎖された空間の点検調査を安全かつ効率化することが可能な閉鎖環境点検ドローンFi4(ファイ4)を開発し、販売開始しています。

ジンバル搭載のブレない防水カメラで安定した撮影が可能で、作業員がマンホール内に入孔せずにできるため、安全に点検作業を実施することができます。

下水道の点検にドローンを検討しようと考えている方は、ぜひこの機会に株式会社ACSLにご相談ください。

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